〇企画趣旨

経営資源の集約による競争力の強化、事業ポートフォリオの多角化によるリスクの分散、人材不足・後継者不足への対策に加え、政府による規制緩和などもあり、企業のグループ化が加速しています。より柔軟で競争力のある経営体制を築くこと目的としてはいるものの、グループ経営には多くの利点と課題も存在しています。

〇光(メリット)
(1)資源の共有:グループ企業は、資金、人材、技術などの資源を共有しやすく、スケールメリットを享受できます。
これにより、コスト削減や効率化が進み、競争力が向上します。
(2)市場の多様化:グループ経営により、複数の市場に参入することができ、経済的なリスクを分散できます。一つの市場が不調でも、他の市場でカバーできる可能性があります。
(3)シナジー効果:グループ内の企業間で連携することで、新しいビジネスモデルの創出や、相互補完的なサービスや製品の提供が可能となり、全体の価値を高めることができます。
(4)ブランド力の向上:グループ全体としてのブランド力が強化され、消費者や取引先からの信頼が向上します。これにより、営業やマーケティング活動がしやすくなるでしょう。

〇影(デメリット)
(1)複雑な管理構造:グループ経営では、複数の企業や部門が存在するため、管理構造が複雑になります。これにより、意思決定の遅延や調整コストが増加する可能性があります。
(2)文化の衝突:各企業が異なる企業文化や価値観を持っている場合、それらの文化の衝突が起こりやすく、内部の調和が乱れることがあります。この結果、生産性の低下を招くことがあります。
(3)責任の曖昧さ:グループ経営では、各企業や部門間で責任が曖昧になることがあり、問題が発生した際に誰責任を負うのかが不明確になる場合があります。
(4)財務リスクの連鎖:一部の企業が財務的に問題を抱えると、グループ全体に悪影響を及ぼす可能性がありま す。特に、債務や資金繰りに問題がある場合、グループ全体が危機に陥るリスクがあります。

グループ経営を成功させるためには、「光」の部分と「影」の部分を十分に理解し、効果的な管理体制を気づいていくことが重要となります。

こうした中、「影」の部分に光を灯す存在として、デジタルを活用したグループ間接業務の効率化、重複する業務を集約することでコストの削減を実現する施策として「シェアードサービス」を導入する企業が増えてきています。

そこで本カンファレンスでは、「グループ経営の『光』と『影』」に焦点を当て、グループ全体の長期的な成長を視野に入れた、経営基盤の構築、全体最適の考えに基づく間接業務の効率化について、その成果に注目が集まる「シェアードサービス」の導入事例、組織体制の在り方について有識者、実践者の講演を踏まえながら考察できればと存じます。

≪開催概要≫

日  時 2024年1023日(水) 14:00~16:30
会  場 会場対面および、オンラインLIVE配信のハイブリッド開催
     会場参加:文藝春秋本社ホール(千代田区紀尾井町3-23)
     オンライン参加:Zoomウェビナー
参加対象 経営者、経営幹部、経営管理部門、経営企画部門、
     経理・財務部門の部門長など
定  員 会場参加50名、オンライン参加300名
参加費用 無料(事前登録制)
主  催 株式会社文藝春秋
協  賛 Sansan株式会社
来場特典 文藝春秋オリジナルクオカード(1,000円分)

申し込み

≪プログラム≫

14:00~14:40 基調講演
「企業グループ・マネジメントの全体最適化に向けて」
~ 今、改めて考える「シェアードサービス」のメリットとデメリット ~

慶應義塾大学商学部教授
公認会計士
園田 智昭氏

1991年 慶應義塾大学大学院商学研究科博士課程単位取得。2006年より慶應義塾大学商学部教授。博士(商学)。公認会計士。武蔵野大学客員教授。総務省契約監視会構成員。財務省第3入札等監視委員会委員。著書に『シェアードサービスの管理会計』(中央経済社、2006年)、『プラクティカル管理会計』(中央経済社、2017年)、『企業グループ・マネジメントの管理会計』(編著、中央経済社、2017年)、『Q&A管理会計の最先端』(日本公認会計士協会出版局、2019年)、『Q&A管理会計の最先端2』(日本公認会計士協会出版局、2020年)、『プラクティカル原価計算』(中央経済社、2021年)など。


14:40~15:10 課題解決講演
「Bill Oneが作るインボイスネットワークの未来とは」
~ グループ企業における経理業務の生産性向上 ~

Sansan株式会社
Bill One事業部 チーフプロダクトマーケティングマネジャー
柘植 朋美氏

新卒で大手人材会社に入社し、海外事業企画に従事。その後、大手ERP会計ベンダーにてコンサルタント業を経て、2016年にSansanへ入社。
エンタープライズ領域でのカスタマーサクセスマネジャーを3年経験後、新規事業の開発を担当。現在はBill Oneのチーフプロダクトマーケティングマネジャーとして活躍中。


15:20~15:50 変革事例講演
1社の成功をグループ展開
請求書業務480時間削減だけでなく、生産性向上へつなげる挑戦

東海東京サービス株式会社
シェアードサービス部 副部長 兼 経理財務グループリーダー
荒井 梓氏

1998年に東京証券株式会社(現 東海東京証券)へ入社。個人営業職に11年従事。営業サポート、本社のバックオフィス業務を経て、2017年より東海東京ビジネスサービスへ出向。同社の経理業務を担当する中で、業務プロセス改善・業務効率化を図るための経理DX推進を担当し、新経理システムの導入を実現。2023年より現職。グループ全体の経理関連業務の統一・効率化を目指す業務に従事。


15:50~16:30 クロージング
「グループ経営の高度化とGBS/SSC」
~ シェアードサービスが企業にもたらす本質的な価値とは ~

EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社
グローバル・ビジネス・サービス パートナー
永井 康幸氏

1998年にグローバルコンサルティングファームに入社し、業務改革、システム導入に従事した後、外資系ITO(ITアウトソーシング)やBPOを提供するファームのBPO事業責任者としてオペレーション改革や、中国を中心としたオフショアBPO展開に従事。その後、インド、フィリピン、東欧、中南米などグローバルなGBS/BPO/SSCコンサルティングに従事し、2018年より現職。経理財務、人事、総務、調達購買などを中心に、業務効率化、高度化を目指したGBSやシェアード・サービス・センター(SSC)の成熟度評価、構想策定、ビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)の活用、業務移行、運用安定化に至る一連のライフサイクルについて、先進的なテクノロジーを活用して国内、およびグローバル企業を支援している。