ドジャースの大谷翔平(30)が19日、マイアミで行われたマーリンズ戦で、メジャー史上初の「50本塁打、50盗塁」を達成した。前人未到の挑戦を前に大谷にまつわる“5つの秘話”に迫った、「週刊文春」の記事を公開する(初出:「週刊文春」9月12日発売号。年齢、肩書は当時のまま)。

◆ ◆ ◆

「今は何してもうまくいくから、楽しいやろうね。楽に50盗塁を達成するでしょ。やっぱり100年に1人の選手ですわ」

ADVERTISEMENT

「世界の盗塁王」こと福本豊氏(76)の賛辞である。

国民栄誉賞の打診も受けた福本豊氏

大谷が“失敗しない男”に変貌を遂げた

 これまで大谷は47盗塁(9月10日時点)と、2021年の自己最多26盗塁を大きく上回る。

「盗塁急増の背景には大幅なルール変更がある。昨季からベースが大きくなって塁間距離が縮まり、投手の牽制は事実上、2回までに制限された。リーグ全体で盗塁数が大幅に増加しました」(スポーツ紙記者)

 ルール改正の影響が大きいとはいえ、注目すべきは大谷が“失敗しない男”に変貌を遂げたことだという。

 在米ジャーナリストの志村朋哉氏が指摘する。

「今季はこれまで盗塁失敗はわずか4回で成功率は90%以上。21年は、26盗塁で失敗が10回と、成功率72%。意外なことに、昨年までの大谷選手はむしろ盗塁が下手な方だった。今年は怪我のため投球練習や準備ができない分、走塁練習に時間を割き、盗塁技術が格段に進化しました」

マーリンズ戦の1回、今季50盗塁目となる三盗を決めた大谷翔平 ©時事通信社

 野球専門メディア「フルカウント」で密着取材する小谷真弥氏が明かす。

「春のキャンプから、最新の機器で負荷を掛けながら短距離ダッシュを重ね、スタートと帰塁の動作を反復練習していた。シーズン中も、コーチと相手投手の映像を熱心に研究している姿をよく見ます」