『虎に翼』のヒロインを務めるのは、気鋭の女優・伊藤沙莉。実は、彼女の半生は波瀾万丈そのものだった。更に伊藤の“父”が明かすのは、2人の女優との蔵出し秘話。これを読めば、ドラマからますます目が離せなくなる!

「はて?」が口癖(『虎に翼』のHPより)

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束の間の休みに家族と行きつけの韓国料理店へ

 今年の正月、次期朝ドラのヒロインは母、伯母、姉夫婦、姪っ子と行きつけの韓国料理店を訪れていた。千葉県四街道市にあるその店を、かつて彼女は『人生最高レストラン』(TBS系)でこう紹介している。

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〈母への感謝の思いが詰まった! 韓国料理〉

 自身を育ててくれた母への感謝を込め、20歳の頃に家族で訪れて以来、折に触れ、足を運んできたという。年末まで撮影が続いていたヒロインにとって、この日はやっと取ることができた束の間の休みだった。

「最近はお仕事が忙しくなって、お母さんが『なかなか娘に会えなくて』と寂しそうにしていました。でも今回、家族みんなで集まり、楽しそうにお話ししていた。帰り際、沙莉ちゃんがお会計をしていました」(店員)

 会話の中心にいた少し掠れたハスキーボイスの持ち主。現在放映中のNHK連続テレビ小説『虎に翼』で、ヒロイン・猪爪(いのつめ)(とも)()を演じる女優の伊藤(さい)()(30)だ。

カメレオン女優とも(事務所のHPより)

 ドラマの舞台は、昭和初期。女性の地位の低さに違和感を持った寅子が理不尽に立ち向かい、日本初の女性弁護士を目指すというストーリーだ。寅子が通う明律大学の学生を演じる俳優の松本一樹(28)が語る。

「伊藤さんは度々焼き菓子を差し入れてくれたり、和気藹々とした雰囲気を作ってくれます。凄いなと思ったのは、法律用語が出てくる長台詞があっても台本をスタジオに持ち込んでいないこと。頭と体に沁み込んでいるんでしょうね。撮り直しが10回ほどになったシーンで空気がピリついた時には、伊藤さんが『頑張っていきましょう!』と寅子のように明るく声をかけてくれた。士気が高い現場だからか、撮影はいつも2時間ほど巻きで終わります」

 朝ドラの現場を座長として牽引する伊藤。実はそんな彼女の半生にも、寅子のように様々な「理不尽」が立ちはだかっていた。