17日投開票の兵庫県知事選で、前知事の斎藤元彦氏(47)が再選を果たした。新たな知事による県政刷新ではなく、斎藤県政の継続を県民が選んだことで、全議員が不信任を突きつけた議会との判断と食い違う結果になった。斎藤氏はパワハラ疑惑などを追及した県議会と再び向き合うことになるが、選挙による県民分断の影響は大きく、混迷が続く可能性がある。
斎藤氏はこれまでの取材で「再選ならば大きな負託を新たにいただいたことになる」と強調。告発文書問題を招いた責任の「みそぎ」になるとの考えを示していた。再選を受け、1期目に取り組んだ改革をさらに強力に進めると見られるが、今回の選挙戦は臆測に基づく主張が飛び交ったり、街頭演説の会場で小競り合いが起こったりするなど異常な事態が発生。県内に広がる分断と対立の修復がまずは求められる。
一方、県議会調査特別委員会(百条委員会)や第三者委員会で告発文書問題の追及は終わっておらず、近く議論が再開される予定だ。2023年に行われたプロ野球優勝パレードへの協賛金集めでは金融機関への補助金を増額した疑惑もくすぶる。新たな事実が明らかになれば県議会や県民からの批判が高まり、斎藤氏の県政運営に影響が出るのは必至だ。
県議会側はこれまで「知事の資質に問題がある」として斎藤氏への批判を繰り返してきただけに、各会派は今後の対応に苦慮しそうだ。不信任決議案を再提出する選択肢もあるが、ある会派の幹部は「よほど新たな事実がない限り、出すのは難しい」と漏らす。
知事と議会の対立が再燃した場合、25年度予算編成だけでなく、少子化対策や防災対応の推進といった個別施策にも影響が出かねず、県民が置き去りになる状況が続くことになる。