「雅彦さんの場合、相続税に関してはそこまで心配しなくても大丈夫だと思います。なぜなら相続財産からは基礎控除額を差し引くことができるからです。相続人は雅彦さんお一人なので基礎控除額は3600万円になります。つまり3600万円までの財産を相続するのであれば相続税はかからないということです。仮に相続時精算課税で2610万円の贈与を受けていても3600万円の基礎控除額の範囲内に収まります」
「自宅の土地も相続することになるのですが大丈夫でしょうか?」
「相続したご自宅の土地は小規模宅地等の特例が使えます。330平方メートルを限度として評価額を80%減額してもらえます。仮に土地の相続税評価額が4500万円だった場合、900万円の評価額にしてくれるのです。以上のことから、相続税に関してはそこまで不安になる必要もないでしょう」
「相続ではいろいろな制度が使えるのですね。でも……」
リースバック物件を購入すれば生き延びられるのか
雅彦さんの不安は尽きません。
「まとまった現金が手元にあるのはよいことなのですが、現金は使ったらその分減っていきますよね。日々現金が減っていく恐怖を味わいながら『あと何年もつのだろう?』と考えて生きていくのもしんどいです。せっかくまとまったお金が手に入るので、それを活用した対策は何か立てられないものでしょうか?」
「現金を別の形に変えて、資産の減少を緩やかにする方法もあります。それは『お母様から贈与された現金で雅彦さんが賃貸物件を購入し、その家賃収入を雅彦さんの生活費に充てる』といったものです。ですが、予算の範囲内でそれが実現できるかどうかは今ここでは判断がつきません。私の知人に、働くことが難しいお子さんに理解のある不動産業者がいます。物件の説明は無料ですので、次回の面談でお話を聞いていただき、その後、実際に物件を購入するかどうかを検討してみるのはどうでしょうか」
「分かりました。ぜひ説明を聞いてみたいです」