11月19日――。前日より5度ほど低い急な冷え込みの中、成田国際空港では旅客機がせわしなく飛び交う。午後3時、国際線の到着ゲート内は、緊迫した空気に包まれていた。

 搭乗口から到着ロビーまでの通路に、テレビや新聞社のカメラマンがひしめき、ある便の到着を待っていた。

 JAL746便。午前9時台にマニラを発ち、午後3時前に成田に着く予定のこの便は、一人「重要犯」の男を乗せていたのだ。

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各社が固唾を飲む中、現れたのは…

 男の名は小山智広(50)。フィリピンを拠点とし、一連の広域強盗「ルフィ事件」との関連も浮かび上がる凶悪詐欺グループ「JPドラゴン」のナンバー3である。小山は1月、詐欺事件に関わったとしてフィリピンの捜査機関に逮捕されており、警視庁が身柄の引き渡しを求めていた。

「ルフィグループの主犯格の一人で、強盗致傷罪などで起訴された今村磨人被告が、日本国内の留置施設で弁護士を通じてビデオ通話をしていた相手が小山容疑者だとみられています。小山が特詐欺事件について口止めをした可能性もある」(社会部記者)

「JPドラゴン」のナンバー3・小山智広(左。FNNプライムオンラインより)

 この日、その身柄は強制送還によりフィリピンから日本へ。小山を乗せた飛行機が日本の領空に入った際、同行していた警視庁の捜査員が機内で小山を逮捕した。

 そして、746便は定刻で成田空港に到着。

「そろそろ来ます」

 現場を取り仕切る警視庁職員が集まったマスコミ連中に声をかけ、場に緊張が走る。