文春オンライン

ドラマ「おっさんずラブ」に学ぶ“愛されるおっさん”になる方法

セクハラ時代に情熱と努力は報われるのか?

2018/06/01
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「異性愛か同性愛かそれが問題だ」と日本で稀有なシェイクスピア俳優・吉田鋼太郎にハムレットみたいに悩ましくつぶやいてほしいが、彼がバイセクシャルの役で出演して“史上空前のブーム”を巻き起こしている土曜ナイトドラマ『おっさんずラブ』(土曜よる11時15分~ テレビ朝日系)は、異性愛か同性愛かそれが問題ではなく、異性愛も同性愛もボーダレスにバリアフリーに、ただひたすら誰かを純粋に愛することを描き、視聴者を色めき立たせている。

 モテない会社員・春田創一(田中圭)に突如としてモテ期が訪れるが、相手は会社の部長・黒澤武蔵(吉田鋼太郎)と後輩かつルームメイトの牧凌太(林遣都)。

 話が進むうちに、黒澤の妻・蝶子(大塚寧々)や牧の元彼・武川(眞島秀和)、春田の幼馴染・ちず(内田理央)、蝶子を気に入って「史上空前の蝶子ブーム来てんすよ」と名言を発した栗林歌麻呂(金子大地)なども参入して、ラブトライアングルどころか大恋愛曼荼羅の様相を呈しはじめた。

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テレビ朝日系 土曜ナイトドラマ『おっさんずラブ』公式サイトより

 以前、文春オンラインで、今4月期のドラマは「女装もトランスジェンダーも……LGBTをテーマとしたドラマ続々」という記事(http://bunshun.jp/articles/-/6881)を書き、そのラインナップに当然入れた『おっさんずラブ』は、LGBTドラマを越えて、男女問わず、年齢問わず、誰かを愛する気持ちの尊さと、その思いを相手にどう伝えるかを描いた秀作となった。

第6話で物議を醸したラストシーン

吉田鋼太郎さん ©文藝春秋

 吉田演じる黒澤は、春田への思いが募って妻・蝶子と離婚するが、彼女は黒澤の恋を応援する側に回る。ややご都合主義的な気もしないではないが、ドロドロの愛憎を見るよりも、今はこういうさばさばしたものが求められているのではないか。

 5月26日放送の最終回前の第6話では、なにかと受け身な主人公・春田が、結局、黒澤、牧、ちず……と懸命に愛を伝える人たちに対して、ようやくよいしょと能動的になりはじめたものの、春田の幸せを考えて身を引いた牧の代わりに黒澤と同棲してご飯をつくってもらっている!?というラストシーンが物議を醸した。もしかしたら視聴者を引きつけるフェイクかもしれず、ここでの判断は6月2日の最終回を見るまで止めておくが、人として未熟な春田の恋愛(ひいては対人スキル)に対する目覚めと成長を描くドラマであるとはいえるだろう。

今週土曜に放送される最終回の予告動画(公式Twitterより)