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昨年、中国人の187人に1人が日本に来ました。では韓国人は何人来た?――内田樹×平田オリザ×藻谷浩介

内田樹×平田オリザ×藻谷浩介が語る「人口減少社会」#2

人口減少社会の未来学』刊行を記念して行なわれた、内田樹さんと平田オリザさんのトークイベント。後半はサプライズゲストの藻谷浩介さんが登場し、さらに盛り上がります。

#1より続く)

出生率2.4の奈義町には何がある?

司会 さて、ここでサプライズゲストの藻谷浩介さんがいらっしゃいました。ここからはお三方でお話しいただきたいと思います。

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内田 お久しぶりです。藻谷さんって本当にいつもお忙しそうですよね。

藻谷 ご無沙汰してます。今日は途中からの参加になってしまって申し訳ないです。

平田 藻谷さんとはご近所なんですが、だいたいいつもキャリーバッグを転がして走っていますよね。

藻谷浩介さん ©鈴木七絵/文藝春秋

内田 藻谷さんとは以前、ちょうど奈義町の隣の津山で対談イベントをやりましたね。その時は開場寸前に走ってやって来られて、終わると同時にまた走って去って行かれた(笑)。

藻谷 「内田先生と話をしてくれますか?」と言われて、それは光栄ですということで津山に行ったんですが、その時の対談でも津山の人口減の話が出ましたね。美作出身の有名人といえば宮本武蔵、旧美作国はみんな反抗心が強い地域ですよね(笑)。

平田 津山は減っていますね。まわりは頑張っていて、お隣の奈義町は去年の出生率が2.4ぐらいで、高い出生率を維持しているんですが。

内田 すごいですよね、現代日本で2.4というのは。産業は何があるんですか?

平田 農業だけです。

内田 なぜそんなに人が増えるんですか。あ、カフェとイタリアンがあるから?(笑)

平田 イタリアンは去年誘致しました。大ヒットして、2時間ぐらい行列ができるんです、津山からも車で人がやってきて。隣に磯崎新建築の美術館と図書館があるんですが、レストランは2時間待ちだから美術館の入場者が増えました。

内田 そういうのが実現するのは、やっぱり町長さんがしっかりしている?

平田 議員さんを減らし、そのぶん子育てと教育支援をしっかりやろうと、すごく頑張っている。次世代に向けて投資をしよう、ということをいち早く始めたのが功を奏して、津山で働いてる若い夫婦が雪崩を打って奈義に住むようになったんです。車社会なので、30分圏内ならどこに住んでも同じなんで奈義を選ぶ人が多くて。

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