「近隣トラブルなどはなく、会えば挨拶を返してくれました。普通の人という印象です。ただある日、彼宛に届けられた“あるもの”が目に入ってしまって……」

 長野駅前で3人が死傷した通り魔事件。殺人未遂の疑いで逮捕された矢口雄資(ゆうすけ)容疑者(46)と同じアパートの住民は、逮捕前の生活状況について重い口を開いた。

捜査員に囲まれ自宅を出る矢口容疑者

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「リレー捜査」で容疑者を特定、約83時間後の逮捕劇

 地元記者の解説。

「長野駅善光寺口にあるバス乗り場で、22日午後8時ごろ、男女3人が刃物で襲われ死傷する通り魔事件が発生しました。この事件で、長野市内に住む丸山浩由(ひろよし)さん(49)が胸などを刺され死亡。現場は帰路につく会社員や観光客で賑わうエリアですが、規制線が張られた駅ビルの入り口には血溜まりも残っており、騒然としていました」

 事件直後、矢口は現場から逃走。県警は220人態勢で捜査本部を設置し、近隣住民への聞き込みや周囲の防犯カメラ映像を繋ぎ合わせる「リレー捜査」で容疑者を特定した。逮捕は26日午前7時13分。発生から約83時間後の逮捕劇だった。

「逮捕は長野県警の特殊捜査班『NSIT』が中心となって対応しました。長野市内にある容疑者の自宅に突入した際にはチェーンソーや強い光を放つ閃光弾を使用。容疑者は連行される際、取り乱すことなく素直に応じたそうです」(同前)

 矢口が逮捕された26日には奇しくも、刺されて亡くなった丸山さんの葬儀が長野市内で営まれた。丸山さんの知人が、憤懣やるかたない様子で漏らす。

「行きつけのスポーツバーで、丸山さんは初めて店に訪れた人をダーツに誘うなどフレンドリーで優しい人でした。地元の少年サッカーチームでコーチをしていて、サッカー日本代表戦のパブリックビューイングにも来ていた。常連のみんなから好かれていました。なぜ彼が殺されなければならなかったのか……」