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朝丘雪路の長女が明かした「認知症と最期の日」

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「母が認知症の診断を受けたのは2013年のことです。そのことは本人には知らせませんでした」

朝丘雪路さんの長女・真由子さん ©文藝春秋

 そう語るのは、女優・朝丘雪路さんの長女で女優の真由子さん(44)だ。

 映画、テレビ、舞台などで活躍してきた朝丘雪路さんが今年4月に82歳で亡くなった。朝丘さんはアルツハイマー型認知症を患っていた。病状が進行したため、住まいを別にしていた夫・津川雅彦さん(78)が3年ほど前から同居して介護をしていた。45年間連れ添った伴侶を失った津川さんは、5月の記者会見で「娘を産んでくれたことを含め、すべてに感謝です」と語った。

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 真由子さんによると、朝丘さんは亡くなる日まで自宅で過ごしていた。お昼頃、付き添っていたお手伝いさんから「様子がおかしい」と真由子さんと津川さんに連絡が入り、二人が駆けつけた数時間後に静かに息をひきとった。真由子さんは「私たちに苦しむ姿を見せなかった母は、本当に家族孝行だと思います」と語る。

 朝丘さんの父は日本画家・伊東深水。溺愛され、深窓の令嬢として育てられた。そのため、家事は一切できず、結婚するまでお金を払って買い物をしたことがなかった。テレビのバラエティー番組などで、その「浮世離れしたお嬢様」のキャラクターは遺憾なく発揮されたが、その反面、女優という仕事に向き合う姿勢は真剣そのものだった。

朝丘雪路さん ©文藝春秋

「たまのお休みで自宅にいるときには、母は悲しそうな顔をしていました。『ママ、どうしたの?』と尋ねたら、『ママ、お休みになっちゃった。何したらいいのかわからないの』と言われました。母はそれぐらい仕事が命でした」

 真由子さんは、認知症発症後に朝丘さんが演じた最後の舞台を家族三人で作り上げていった経緯などについても詳しく語った。真由子さんへのインタビューは、「文藝春秋」7月号に8ページにわたって掲載される。

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