「これ以上ないというところまでやり切ったよ」
2月7日(現地時間)に行われた日米首脳会談。帰国後、満足気に周囲に手応えを語った石破茂首相(68)だったが……。
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石破首相が考えた、“トランプ氏との相性問題”の打開策
政治部記者の解説。
「トランプ大統領との初の日米首脳会談に臨むにあたり、政府内には『何を要求されるか分からない』という不安が渦巻いていた。特に追加関税や防衛費負担増を突きつけられることを強く警戒していました」
さらに不安視されたのが、語りが回りくどい石破首相と明快な受け答えを好むトランプ氏の相性問題だ。
「私なりのやり方でしかできないのだよ」
訪米前、こう周囲に語ったという石破首相。だが、昨年11月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)の首脳会議で各国首脳と座ったまま握手する“私なりの”外交マナーが顰蹙を買ったのも事実。そのためか、今回は“自主練”に励んだ。
「外務省や経産省、防衛省の幹部級を集めた勉強会を発足させ、土日返上で官邸や公邸でトランプ対策を練った。想定問答のレクチャーは勿論のこと、話し方や、コーディネーターを招いての握手の練習までしていました」(首相周辺)
ウケがよかった安倍外交を“完コピ”
直前に行われたトランプ氏とイスラエルのネタニヤフ首相との会談の動画を観て、傾向と対策を勉強した石破首相。そんな中で最も頼ったのは、かつての政敵だった。
「トランプ氏と盟友関係を築いたとされる安倍晋三元首相です。石破首相は安倍氏に倣い、トランプ氏をリスペクトする姿勢を前面に打ち出すため、安倍氏とトランプ氏の首脳会談でのやり取りを繰り返し読み込んだ。安倍氏時代にトランプ氏からのウケがよかった『日本企業の米国内投資先マップ』を持参したほか、通訳には、安倍氏の通訳としてトランプ氏からとりわけ気に入られていた外務省の高尾直日米地位協定室長を起用。安倍外交を“完コピ”したのです」(同前)