「まず『どのドレスなら着られるかな』と考えないといけないのが、本当にストレスでした」――。
そう振り返るのは、声楽家の鈴木麻子(声楽家名:加藤麻子)さん(49)だ。演奏会のたびに衣装選びに悩んでいた彼女は、成功したはずの演奏会の写真さえ“黒歴史”に感じてしまっていたという。17.6kgのダイエット(※1)に成功し、いまでは「太っていたころの自分に感謝したい」という鈴木さんが語る人生の変化とは。
前職は“小学校教員”「栄養満点の給食を大盛りで…」
── 鈴木さんは声楽家として活動されているそうですね。
鈴木麻子さん(以下、鈴木) 小学校のときに合唱団に入って、初めて歌に出会いました。音大を出たのち、小学校の音楽の先生をしながら、コーラスグループで歌っていたんです。ある時友人のすすめで、発表会でソロで歌うことになったんですが、これをきっかけに歌のレッスンに通ううち「もう一度本格的にオペラを勉強したい」という気持ちが止められなくなって。しばらくは教員をしながらオペラの勉強をして、42、3歳のころに教員を辞め、声楽家一本で活動を始めました。
── キャリアを切り拓いてきたんですね。体格は、幼少期から背が高かったとか。
鈴木 小学校6年生で160センチあったんですよ。子どものころからずっと背が高くてポチャッとしている子、という感じでした。でも、背が高いせいか、自分ではそこまで太っていることを気にしていなかったんです。
ただ、教員になってから、給食が栄養満点で、そこで結構太ってしまったんですよね。子どもたちが「先生は大盛だよね」とたくさんよそってくれるんですが、子どもたちの手前、残せなくて(笑)。当時は運動習慣もなかったですし、太る一方でした。

── いつごろから体型が気になるようになったのでしょうか。
鈴木 声楽の仕事を始めてからです。体型的に似合うドレスが少なく、細いドレスを太くお直ししなくちゃいけないのが、本当にストレスでした。せっかくお仕事をいただいても、歌のことよりもまず「どのドレスなら着られるかな」と考えないといけなくて。どうしてもドレスは胸元が開いたり二の腕が出たりと、露出の多いデザインが多いので、なんとか隠す方法を考えたりしていましたね。
── 本来なら、歌の方で悩みたいところですよね。
鈴木 そうなんです。外見で悩んでばかりいる自分も嫌でした。生意気な話ですが、どこかで「歌さえうまければ体型なんて」と言い訳する自分もいたんです。
── ダイエットもされたのでしょうか?
鈴木 ご飯を糖質オフのパンに変えたりして、2、3キロ減ったことはあったんです。でも、それで調子に乗って普通の食事に戻して、リバウンドしてしまうということを繰り返していました。
“衝撃の一枚”が本格的なダイエットのきっかけに
──2022年6月からRIZAPに通って本格的なダイエットに取り組まれたそうですが、きっかけは何だったのでしょうか。
鈴木 2022年5月にあるコンサートに出演したんです。私は制作にもかかわっていて、思い入れのあるコンサートでした。 演奏会はうまくいったんですが、後でその時の写真を見たときに「私、こんなに太っていたんだ」とものすごくショックで……。

その写真のせいで、せっかくうまくいったコンサートが、私の中で思い出したくない“黒歴史”になってしまったんです。こういうことが続けば、歌のキャリアにも影響が出かねないんじゃないか、と思い「もうプロの力を借りるしかない」とすぐにRIZAPに電話しました。
── それほどご自身にとって衝撃的なお写真だったんですね。
鈴木 衝撃的でしたね。それまでも、鏡で自分の姿は見ていたはずなんです。でも、自分の姿は何となく色眼鏡で見てしまっていたんですね。 人から撮られた写真で、客観的な現実を突きつけられた感じでした。
── RIZAPでは最初に目標設定をするそうですね。どんな目標を設定したのですか?
鈴木 トレーナーさんに「誰か目標にする人はいませんか?」と聞かれたんですけど、まったく思い浮かびませんでした。当時は「あの女優さんみたいになりたい」とかお名前を口にすること自体、おこがましいように思ってしまっていたんです。自分とはかけ離れすぎていて「こんな私が、あの人みたいになれるわけがない」って。
── その気持ち、わかるような気がします……。
鈴木 だから全然具体名が思い浮かばなくて。トレーナーさんも「こういう方がいらっしゃいますよ」とたくさん例を出してくださったんですけど、全然ピンとこなくて。その時、それまで自分はどうなりたいのか全然考えてこなかったんだな、と気づきました。「5キロくらい痩せたいな」とはぼんやり思っていましたが「こういう雰囲気の女性になりたい」といったことまで具体的に考えてなかったんです。
── トレーニングが始まってからは、いかがでしたか?
鈴木 最初は食事の話を聞いたり、運動と言っても踏み台昇降などの軽い有酸素運動や、お家でできるストレッチを教えてもらえるくらいで。私はもっと最初から筋トレをバリバリするのかな、と思っていましたし、正直「こんなに運動量が少なくて痩せられるのかな」と……(笑)。痩せる気満々で気合いを入れていたので、ちょっと拍子抜けでしたね。

でも、考えてみれば、私は運動経験もなく、スクワットさえできなかったので、無理させられないってことだったんですよね。少しずつ段階を追って運動量を増やしてくれました。
──食事管理はつらいと思うことはなかったですか?
鈴木 最初は物足りなく思うことはありましたけど、だんだん楽しくなっていきました。トレーナーさんが目標に応じて糖質量を決めてくださるので、それを守った上でいかに満足できる食事を作れるかっていう、ゲーム感覚でしたね。
「もう無理です、やめます」とトレーナーに伝えた
── どのくらいの期間で体重の変化を感じました?
鈴木 食べる量が減るので、最初はストンと落ちるんですよ。 ただ、2カ月目ぐらいに停滞し始めたので、トレーナーさんと作戦会議して乗り越えました。
── どのように乗り越えたのでしょうか。
鈴木 当時は、体重が落ちなくなると一喜一憂していて、朝起きて体重が前日より多かったりすると「この世の終わりだ」ってくらい落ち込んでしまっていたんです。 トレーナーさんとはアプリで連絡を取れるんですが、ある時「もう無理です、やめます」とメッセージをしたら、すぐ電話をしてくれて。それから30分以上電話につきあってくれて、その時は本当に嬉しかったですね。お仕事とはいえ、そこまで寄り添ってくださる人がいることが心強かったです。
── トレーナーさんが心の支えになったんですね。
鈴木 本当にそうですね。トレーナーさんは、体づくりはもちろんですが、特にメンタル面を支えてもらったと思っています。モチベーションが下がったら、その都度話し合うことができましたし。ダイエットにおいて、信頼できる人がそばにいるということは、すごく大きいと思います。

── 周囲から体型の変化を指摘されたりしましたか?
鈴木 RIZAPを始めて2カ月目くらいの時に、ノースリーブのワンピースを着てコンサートに出かけたんです。 今までは二の腕なんか、とてもじゃないけど出せないと思って、もう何年もノースリーブを着ていなかったんですけど、思い切って着て行ったら、トイレでお友達に遭っちゃって。
そしたら「痩せた? 全然わからなかったよ!」って言ってもらえました。その時はまだ体重がそこまで大きく減っていたわけではなかったのにそう言ってもらえて、嬉しかったです。
── 6カ月でマイナス17.6kgのダイエット(※1)に成功し、その後2023年の「ボディメイクグランプリ」にも出場されたそうですが、お仕事にも変化がありましたか?
鈴木 オペラって、露出が多い衣装が多いんです。以前は、指定された衣装に露出が多いと、それを理由にお仕事をお断りしたこともありました。キャリアのためにはお受けした方が良かったんですが……。でも今ではどんな衣装でも、いただけるお仕事はなんでも挑戦できるようになりましたし、ハードな振り付けでも身体が動くようになりました。
それから、私はメゾソプラノという女性の中では低い声のパートなんですが、最近は男性役がもらえることが増えたんです。これは自分でも意外でしたね。

── メンタル面での変化は感じますか?
鈴木 自分のことが、今まで以上によくわかるようになりました。今まで無意識に、自分の見たくないところは見ないようにしていたように思うんです。外見的にも、内面的にも、自分がどういう女性になりたいのか、わかっていませんでした。なりたい女性像を具体的にイメージできるようになったのは大きな変化ですね。
あとは、自分に自信がつきました。ここまでダイエットを頑張れたんだから、他のこともどうにかなるだろう、と。「この世の終わりだ」みたいに落ち込むことも少なくなりましたし、メンタルが安定したように思います。私がこうなれたのは、トレーナーさんはじめ助けてくれる人がたくさんいたから。周囲に感謝の気持ちを持てるようになったのも大きな変化ですね。
太っていたころの自分に対して、罪悪感や恥ずかしい思いはない
── 鈴木さんは体重が減った現在もRIZAPを続けているそうですね。どうしてなのでしょうか。
鈴木 最初は「こういう女性になりたい」という具体的な目標が全く持てなくて、以来トレーナーさんとずっと探していたんですが、ある時ネットで「この人だ!」という方を見つけることができたんです。その方は男装も女装もできるコスプレイヤーさんなんですが、私もオペラで男役をやったりもするので、身体も彼女のような男性的な力強さと女性的な柔らかさの両方があったらいいな、と。それで、写真をトレーナーさんと共有して、その方を目標に筋肉をつけるべくトレーニングを頑張っています。

── 最初は憧れの像すら思い浮かんでいなかったのに、大きな変化ですね。
鈴木 そうですね。トレーナーさんから度々「誰か目標になる人はいないんですか?」と聞かれるうちに「どうなりたいんだろう」と考える習慣がついたのが大きかったと思います。
──今、変わる前のご自身に声をかけてあげるとしたら、何と声をかけたいですか?
鈴木 トレーナーさんに「太っていたときの鈴木様がいなければ、私たちは出会っていませんから、あの赤いドレスの鈴木様に感謝ですね」って言われたことがあって。本当にそうだなと思ったんです。今は太っていたころの自分に対して、罪悪感や恥ずかしい思いは全然ないんですね。だから、もうあのコンサートも黒歴史じゃないです。むしろ変わろうと思えた自分に「ありがとう」と言いたいですね。
── ダイエットする前の人生も肯定しながら、先を見据えているんですね。
鈴木 そうですね。RIZAPを始めたことは、それまでの自分を受け止めた上で、この先どう変わっていきたいかを考えるきっかけになりました。人生が変わったな、とはっきり言えますね。
※1 鈴木さんのプログラム実施期間は6ヶ月間です。
※結果には個人差があり、効果を保証するものではありません。
※適切な食事管理を行い、個人に合わせて目標数値を管理しています。
※RIZAPのプログラム体験者N=46(24~66歳、平均年齢45.8±10.9歳)の3ヶ月間の数値を統計処理した結果、確率的に可能な数値変化の幅(四分位法による)は体重–23.38kg〜–1.57kgであり(実績値、2020年9月 日本臨床試験協会調べ)、3ヶ月後の体重がこの範囲に収まらない者の割合は4.35%です。
※鈴木さんの6ヶ月後の減少数値は、確率的に可能な範囲です。

