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旅行の楽しみを左右する、街歩きの極意13カ条

プロが教える「旅の新常識」

2018/06/21

 国内旅行であろうと、海外旅行であろうと旅の基本は街歩きである。だが、街歩きはその重要性に比して、旅行情報の扱いでは、つねに軽んじられてきた。少なくとも筆者にはそう感じられる。

「歩く」といっても、ただなんとなく歩くのであれば誰でもできる。だが、同じ町で同じ時間を与えられても、街歩きのやり方一つで旅の充実度そのものは大きく異なる。

 あるべき街歩きをまずこのように定義づけてみた。

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「かぎられた時間に、疲労困憊することなく、できるだけ効率的に、その町の魅力にふれたい」

 もちろんなかには1週間くらいのんびりと暮らすように(このことばも随分手あかにまみれた感はあるが……)街歩きをしたいという人もいるだろう。だが、ここではさほど時間に余裕のない人を前提にして考えてみた。

(1)トリップアドバイザーで予習しておく

 私事で恐縮だが、中高時代、一夜漬けでのぞんだ中間テストや期末テストはろくな結果をもたらさなかった。旅も同じである。きちんと予習してのぞまないかぎり、見るべきものを見落としたり、見ていてもその本質的な面白さを知らずに旅を終えてしまったりする可能性が高い。

 どうしても時間がない人におすすめしたいのが、口コミサイトのトリップアドバイザー(https://www.tripadvisor.jp/Attractions)だ。これは都市・地域ごとの観光地について、口コミの人気順にランキングが表示されるもの。ランキングそのものは個人の好みもあるので判断が難しいが、コメントと写真をざっとみるだけでも、その観光地が自分にとって興味深いかどうか、ある程度峻別できる。

 これによってどうしてもみたいところ、時間があればみたいところの優先順位とそれらの位置を地図上で確認しておきたい。時間がない場合は、ガイドブックを見て、気になるスポットのみ検索して調べるという方法もある。

(2) MAPS.MEなしに街歩きすることなかれ

 よい街歩きはよい地図選びから始まる。

 無料の地図アプリ、MAPS.ME(https://maps.me/)をあらかじめダウンロードしたうえで、自分の訪問する国や地域の地図を読み込ませておきたい。MAPS.MEはオフラインでもナビゲーション(車と徒歩)が使えるので、特に海外で常時接続をしない人にとっては重宝する。街歩きの際も目的地までの所要時間と最短のルートを提示してくれるので、これさえあればまず道に迷うことはない。グーグルマップ(https://www.google.co.jp/maps/)と併用すれば、鬼に金棒である。

MAPS.MEは以下からダウンロードできる。
App Store(iPhone・iPad)
https://itunes.apple.com/app/id510623322?_1lr=1
Google Play(Android端末)
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.mapswithme.maps.pro&hl=ja
Amazon(Kindle)
https://www.amazon.co.jp/dp/B008RJFRTK

オフラインでも利用できる地図アプリ、MAP.MEがあれば、インターネット接続がなくても、ナビが利用できる(公共交通機関のナビは不可)

(3)歩くルートや情報をあらかじめ地図に書き込んでおく

 スマホの地図が主流となった世の中とはいえ、紙の地図も用意しておくと地図上に書き込みができて便利だ。あらかじめガイドブックの地図をコピーしておいてもよいし、観光案内所などでもらった地図でもかまわない。地図に自分がその日街歩きでまわろうとしているルートや寄りたいポイントなどを書き込んでおくとよい。筆者は気になった飲食店の名前や営業時間なども入れておくことが多い。

 ちなみにガイドブックは必要な都市の部分だけきりとったり、地図の部分だけコピーをとったりすることで、荷物を軽減できる。

街歩きでは旧市街の裏通りをあえて選びたい。シチリアのパレルモ郊外にて

(4)行きと帰りで別の道を歩く

 街歩きでのさまざまな発見はある程度歩く距離に比例する。だが、時間にかぎりがある以上、歩く距離はおさえたい。そこで、A地点からB地点に行き、また戻ってくるようなルートをとる場合、行きと帰りではルートを変える方がよい。往復でほぼ倍の景色を楽しむことができるからだ。かりに行きと帰りで別々のルートを通るとかなり遠回りになる場合でも、同じ道を行きと帰りで反対側をみてまわるだけでも、発見の度合いは異なるだろう。