給料の遅配はとどまることなく、ついには社員が夜の仕事に就き始め、悲鳴をあげる有り様のミュゼプラチナム。一体、何が起きているのか。「週刊文春 電子版」が本問題を取り上げた当時の記事を全文公開する。
(初出:「週刊文春 電子版」2025年2月15日配信。年齢、肩書は当時のまま)
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大手脱毛サロン「ミュゼプラチナム」が、存亡の危機に陥っている。2月14日には社長の三原孔明氏を始めとする全取締役が解任されたことが「週刊文春」の取材で分かった。同サロンは資金難のため、11月から3カ月連続で給与の遅配が発生しており、社員らには2月14日現在で1月分の給与も支払われていない。
全国に168店舗(昨年12月時点)を抱える著名脱毛サロンで、何が起こっているのか。
Xの非公開アカウントで不満爆発
〈遅延分の給与支給についても対応を急いでおり、別日になりますが必ずお支払いいたします。大変申し訳ございませんが、日付が確定次第改めてご案内いたします〉
2月14日朝、〈資本及び代表者変更のお知らせ〉との通知を受け取ったスタッフのAさんは目を剥いた。数日前に「必ず来週にはお支払いいたします」とのメールを、三原社長名義で受け取ったばかりだった。だが今や、その約束をした社長がいない。新たな代表取締役になったのは阿部博氏だった。
〈別日とか何回言うんだよ!社長が変わるとかどーでもいいから!ふざけんなよ〉
〈給料日に別日とかあるんだ~、、、こんなに社員が困窮してる会社ある?〉
〈(新代表)誰だよマジで〉
同じ通知を読んだミュゼの社員たちは、Xの非公開アカウントでこう怒りを爆発させている。
同サロンは2003年に創業。タレントのトリンドル玲奈や池田エライザらが次々とブランドミューズを務め、売り上げは業界トップとなる約387億円(2014年8月期)を記録した。他社に先駆けてスタートした「100円脱毛」などの格安キャンペーンも当たり、累計会員数は450万人を突破している。
ところが──。ミュゼはここ数年、資金繰りの悪化が顕著だ。運営元も次から次へと変わり、2023年には大手家電メーカーとして知られた船井電機がミュゼを買収した。しかし経営再建は失敗し、わずか1年弱で別会社に再び売却。その後、船井電機自体も461億円の負債を抱えて破産している。