警察庁は3日、昨年一年間に検挙された「匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)」の人員が1万105人に上ったと発表した。
トクリュウはSNSなどを通じて犯罪ごとに離合集散を繰り返すアメーバのような犯罪ネットワークを指す。トップダウンでメンバーが明確な暴力団と全く違う形態をとるため、その実態を追うために警察庁が考案した造語だ。
「象徴的だったのは同時期に検挙された暴力団組員などが過去最少の8249人だったこと。組を辞めてトクリュウとして犯罪を続ける者もいるとみられ、暴力団対策からトクリュウ対策に舵を切った警察の見通しの確かさが裏付けられました」(警察庁担当記者)
「匿名SNSを使ってやり取りするのは犯罪者の間ではもはや普通」
警察庁の統計によれば、昨年末時点での全国の暴力団組員は前年末より500人減って9900人。戦後初めて1万人を割り込んだ。一方のトクリュウは様々な分野の犯罪に関わっている。
検挙された1万人超のうち、最多は口座の譲り渡しなどのマネーロンダリングなどを取り締まる犯罪収益移転防止法違反の3293人。ほかは詐欺が2655人、窃盗991人、薬物事犯917人、強盗348人などだった。
「最近の警察発表では『トクリュウとみて捜査している』というのが決まり文句になってきました。匿名SNSを使ってやり取りするのは犯罪者の間ではもはや普通のこと。トクリュウではない組織犯罪の方が肌感覚では少ない」(同前)