「昨年秋、仕事を休む社員がすごく多い日がありました。ちょうど、JALの中途採用の最終面接の時期だったので、職場では、『大量に転職するのではないか』と噂になりました」

 こう語るのはANAの若手客室乗務員(CA)だ。

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インバウンド需要の急増で黒字化

 国内航空会社の2大大手であるJALとANA。コロナ禍では旅客数の減少で、収益が大きく低迷した。

 経済部記者が解説する。

「2022年3月期まではともに巨額の赤字。ですがその後はインバウンド需要の急増も手伝い、黒字化を経て、現在は業容の“拡大期”に入っています」

ANAのCA(同社SNSより)

「JALに移ろうかな」という声が多い

 業界関係者が語る。

「今、航空業界は人材の取り合い。厚遇を提示する会社には、どんどん人が流れます」

 こうした中、冒頭のANAのCAが続ける。

「コロナ禍の直前の19年度に新卒採用された世代を中心に、『JALに移ろうかな』という声が多い。20年度以降、しばらく採用を停止していたので、この世代はずっと“下っ端”のまま。さらにコロナ後は新規路線の開設が相次ぎ、異常に忙しくなりました」

 

 不満の背景には、“社風”もあるようだ。

「よくANAは『体育会系』と言われますが、先輩後輩の関係がしんどい。同期がお局CAに目をつけられ、海外のフライト先で1人だけ食事に誘ってもらえないことがあった。若手の間では、こうした先輩の情報をクラウド上に共有し、参加者は自由に書き込んでいる。それに比べJALはのほほんとした印象です」(同前)

 

JALとANAの待遇の差

 別のANAのCAが言う。

「待遇面で言うと、基本給に加え搭乗中の『フライト時給』というものがありますが、ANAは新人が500円からスタートするのに対し、JALは700円から。フライト時間は私たちが月90時間程度飛ぶのに対し、JALはもっと少ないと聞きます。それにJALは寮や借り上げの社宅があるのに、ANAでは9900円の住宅手当しか出ません」

芝田浩二ANA社長