発売直後から「日経新聞」や「産経新聞」などで書評が続々掲載、発売即重版も決定した、長岡弘樹さんの『交番相談員 百目鬼巴』。ミステリ好きなら見逃せない、異色の警察小説について著者自らが語った。
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『教場』シリーズで知られる長岡弘樹さんの新たな警察小説が誕生である。
今回の主人公は、交番相談員。
交番相談員とは、警察官がパトロールで不在の時などに、地理案内や落し物受付など業務の一部を代わって行うもので、定年退職した警察官がその豊富な経験を活かし、非常勤として駐在している。
「普通の警察官を主人公にするのはもうありきたりすぎると感じていました。今回は別の立ち位置で、と考えて思いついたのが交番相談員です。『警察にいるお母さん』とでも呼べるキャラクターをイメージして書きました」
主人公の百目鬼巴(どうめきともえ)は、見た目は普通のおばさんで、性格も穏やかだが、彼女には妙な噂があった。
「百目鬼はかつて非常に優秀な刑事で、県警本部の刑事部長も頭があがらず、なぜか科学捜査の知識まで豊富に有していると評判の、謎めいた存在です。実際、交番勤務中も卓越した洞察力で、目の前で起こっていることの真相・裏側を立ちどころに見抜くのです」