4月25日、神奈川県秦野市で行われた大相撲の春巡業。会場で笑顔を振りまく元横綱の白鵬こと宮城野親方(以下、白鵬)は充実感に満ちていた。事前に現地入りして巡業を取り仕切る先発親方を初めて1人で担当したのだ。秦野場所が満員御礼に終わると、知人にこう漏らしたという。
「巡業はこれが最後になるな……」
◆◆◆
どこか吹っ切れた表情の白鵬
大相撲担当記者が語る。
「開催中の大相撲五月場所は大関・大の里の史上最速がかかった綱取り場所として注目されていますが、今場所後、もう一つの焦点となっているのが白鵬の去就です。表向き、本人は本心をおくびにも出していませんが、どこか吹っ切れた表情をしています」
小誌は4月17日号で白鵬が五月場所後に日本相撲協会と訣別する意向にあることを報じた。
「記事を見て詰めかけた報道陣に、白鵬が退職を否定したため、相撲協会は静観の姿勢です」(同前)
だが、今なお白鵬の退職の意志は揺るがない。白鵬の友人が明かす。
「報道が出た時点では各方面の関係者にまだ十分な説明ができておらず、退職を認めるわけにはいかなかった。その後、支援者筋から一定の理解を得られた白鵬は、ゴールデンウィーク明けにも退職記者会見を行うつもりだった。ですが、五月場所までは職務を全うするため、会見はいったん見送りとなりました」
伊勢ヶ濱部屋は、照ノ富士が新師匠となる
昨年2月、宮城野部屋の元弟子による暴力事件が発覚。師匠失格の烙印を押された白鵬は2階級降格のうえ、部屋は閉鎖となり、宮城野部屋勢は伊勢ヶ濱部屋に転籍となった。それから1年、白鵬の心をへし折ったのが、宮城野部屋の再興を前に直面する伊勢ヶ濱部屋の師匠交代問題である。
「今年7月に定年を迎える伊勢ヶ濱親方(元横綱・旭富士)は、この6月初旬にも伊勢ヶ濱名跡を照ノ富士親方(元横綱)に譲渡する見込み。部屋の師匠は、今年1月に現役引退したばかりの照ノ富士に引き継がれる」(伊勢ヶ濱部屋関係者)
白鵬と照ノ富士の確執
それは部屋付き親方の白鵬にとっては耐え難い現実。前出の友人が語る。
「モンゴル出身の後輩である照ノ富士とは現役時代から根深い確執がある。白鵬は『1日たりとも照ノ富士の下にはつきたくない』と話しており、そのリミットが五月場所後でした」
かつてモンゴル出身の先輩横綱たちに正座を強要されたこともある照ノ富士は、白鵬の去就に関してこう勝ち誇ったという。
「俺の下につきたくないんでしょ。辞めたきゃ辞めればいいじゃん」