愛子さまへと引き継がれた“膝つき交流”

 膝を落とし、目線の高さを合わせて被災者たちに語りかけるスタイルは“平成流”と呼ばれるが、

「始まりは美智子さま。皇太子妃だった昭和の時代から福祉施設で膝をついて利用者と交流していました。皇太子(現上皇)が次第にそれに倣うようになり、平成の時代に定着しました。今回の“膝つき交流”は、美智子さまから雅子さま、そして愛子さまへと引き継がれたものと言えるでしょう」(前出・皇室担当記者)

美智子さま

 集会所を出た愛子さまは外に集まっていた数十人の入居者たちにも近寄り、順に声をかけられた。

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「あいこさま、ありがとうございます」

 愛くるしい声が飛ぶ。岡部俊成さん(45)と麻美さん(43)の長女、芽依ちゃん(3)だ。

「愛子さまは笑顔で『かわいいですね。おいくつですか?』と声をかけてくださいました。娘には『お姫様が来るんだよ』と伝えていました。愛子さまに『おうちはどうですか?』と聞かれた娘は、仮設の室内を娘の好きな色にしていたことから『ピンク色です』と答えました」(俊成さん)

 当然ながら、仮設住宅に暮らす入居者は、地震によって慣れ親しんだ住まいを奪われた人たち。

「建築費も家賃も高騰していて、まだ次に住む場所は決まっていませんが、愛子さまが来てくれて、声までかけてくださったのは、本当にありがたく、励みになりました」(同前)

被災者と語る愛子さま

「愛子さまの穏やかな笑顔は、雅子さまと重なりました」

 同日、愛子さまは七尾市内の観光拠点施設「和倉温泉お祭り会館」で旅館の若手経営者らとご懇談。和倉温泉にある20の旅館のうち営業を再開できているのはまだ5館のみだ。かつての賑わいには程遠いが、沿道から愛子さまを見守った旅館「花ごよみ」女将の北村良子さん(66)が語る。

「和倉にこんなに人が集まったのは、去年の地震以降では初めて。愛子さまの穏やかな笑顔は、皇太子妃時代に和倉にお泊りになった雅子さまと重なりました」

雅子さま

 初日の最後、愛子さまは金沢大学のボランティアサークル「ボランティアさぽーとステーション」の喜多見浩介さん(20)、間山春太郎さん(19)、湯澤実柚さん(19)らとご交流。現在2年生の3人は、顧問で同大学講師の原田魁成さん(30)や仲間とともに毎週末、奥能登の被災地に出向き、被災した住宅の片づけや被災者の心のケアを行う傾聴などの活動を続ける。間山さんが語る。

「愛子さまはボランティアに参加したきっかけや印象に残った活動などを、熱心に聞いてくださいました。被災して汚れた写真の洗浄の様子をお見せすると、『こんなに綺麗になるんですね』と感心しておられました」