日本赤十字社の嘱託職員として2年目を迎えられた愛子さまは、ボランティア活動推進室の青少年・ボランティア課に勤務。志を同じくする大学生たちとのやりとりにも、自然と熱がこもる。喜多見さんが語る。
「愛子さまは、ニーズとシーズのマッチング、どんな仕組みがあればボランティアに参加しやすくなるかなど、専門的なことも積極的に聞いてこられました。関心の高さを感じ、あっという間の時間でした」
快晴に恵まれた2日目の19日。愛子さまは志賀町の道の駅「とぎ海街道」で昨年9月に営業を再開した仮設店舗を訪ねられた。
「愛子さまは、こうしたスーパーに入られるのが初めてだったそうで…」
地元スーパー「トギストア」は、元店舗の10分の1ほどの広さだが、奥の厨房で調理した自慢の刺身や総菜が店内に並ぶ。愛子さまを案内した専務の冨澤美紀子さん(69)が振り返る。
「愛子さまは、こうしたスーパーに入られるのが初めてだったそうで、『品揃えが豊富で、綺麗に並んでいますね』と、優しい口調で話してくださいました」
愛子さまが足を止めて興味を示されたのが「茶わんとうふ」だったという。お碗型の丸い豆腐の中に練辛子が入っている、能登で生まれた石川県民のソウルフードの一つである。
愛子さまは、この道の駅でも、隣接する仮設住宅とぎ第三団地の入居者に声をかけられた。前日の体験を踏まえた問いかけを受けたのは大谷文子さん(78)だ。
「愛子さまが『健康体操はされていますか』と。ここには集会所がないので『していませんが、災害で繋がった皆さんとの絆があります』と答えると、『よかったですね』と言ってくださいました。眼差しの優しさに感動しました」
志賀町富来行政センターでは、ボランティアの運営体制に耳を傾けられた。職員とともに対応した災害支援の任意団体「ユナイテッドコッカーズ」代表の境圭代子さん(45)が語る。
「一般ボランティアが入っていけない半壊以上の建物の片づけや荷物を取り出す活動をしています。愛子さまは活動風景のパネルも熱心に見てくださいました」
同団体で活動する木坂伸子さん(43)が明かす。
「活動を通じてご依頼主さんが笑顔になったお話をすると、愛子さまは『喜んでくれたんですね』とほほ笑んでおられました」
愛子さまは、「また来ます」とのお言葉を残して帰路につかれた。今後も被災者の心に寄り添い続ける――。愛子さまの思いが伝わる濃密な2日間だった。
