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バカリズム、カズレーザー、中丸のユルい空気が心地よい――てれびのスキマ「テレビ健康診断」

『家事ヤロウ!!!』(テレビ朝日系)

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バカリズム ©時事通信社

 バカリズムとカズレーザーといえば、芸人の中でも“奇才”などと称される存在。独特なセンスに溢れ、他とは違う存在感を放っている。この2人にKAT-TUNの中丸雄一を加えた3人がレギュラーを務めるのが『家事ヤロウ!!!』だ。様々な家事をイチから学んでいく番組。正直最初は、せっかくこのメンバーを揃えて家事? と思った。けれど、見始めると3人が醸し出すユルい空気が心地よくてクセになってしまう。

 この番組が特異なのは、そこに専門の先生などを呼ばないということだ。その代わり、3人に専門家が監修したハンドブックが渡される。たとえば「洗濯物の干し方」を取り上げた回では、「干し方」だけでも、バスタオルの干し方、Tシャツ、靴下、ブラジャー、靴……など20項目以上が丁寧にわかりやすく解説されている。それを3人のうち1人が進行役となって読んでいく。

 重要なのは「先生」がその場にいないこと。先生がいるとどうしても、教える側・教わる側という立場に明確な違いが出てしまうし、その先生のキャラクターが番組の雰囲気を決定づけてしまう。だが、3人だけでそれぞれハンドブックを読む側、実践する側を交互に行うから立場が同じ。だからユルい雰囲気を維持することができるのだ。

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カズレーザー ©時事通信社

 この日は「ネットで噂の怪しいレンジ料理」を検証。最初は豆腐を片栗粉と混ぜてレンジで温めると餅になるというもの。これは「今から約15年前、某食卓系情報番組で紹介され話題」になったという。このように、他の番組で紹介されたことを隠さない。この番組では、「イチから学ぶ」というコンセプトを逆手に取り、「恥ずかしげもなく」取り上げていく。最初は訝(いぶか)しんでいた3人が実際に「餅」ができると「本家よりも美味い!」などとキャッキャと喜んでいる。その様を見ているだけで楽しくなる。

 一方で、「魚肉ソーセージをレンチンするとビーフジャーキーになる」というレシピには作る前から「絶対うまいじゃん!」などと言っていたが、作ってみると「食べる前に盛り上がりすぎた」とトーンダウン。正直な感想が出てくるから見ていてストレスがない。

 男性が家事を学ぶというと、男性の家事参加云々といった窮屈な空気が漂いがちだ。だが、この3人がブツブツ文句を言いながらも楽しげにやっているのを見ると肩の力が抜けていくのだ。

『家事ヤロウ』
テレビ朝日系 火 25:56~26:21
http://www.tv-asahi.co.jp/kajiyarou/

バカリズム、カズレーザー、中丸のユルい空気が心地よい――てれびのスキマ「テレビ健康診断」

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