JR東日本のグループ会社「東日本環境アクセス」は、首都圏を中心とした駅や駅ビルの清潔感を保つ「清掃のプロ」として、清掃スタッフ約3800人が働いている。そのなかで、「マーメイド・ポセイドンスタッフ」と呼ばれる清掃クルーは、清掃だけでなくお客様対応までマルチにこなすスペシャリスト。地域の子どもたちの憧れの存在にもなっている。その様子を小田原駅で取材した。
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お客様に「ありがとう」と言われることに喜びを感じるという、マーメイドスタッフの山崎志保さん(33)。「清掃でお客様から『ありがとう』とお声をかけていただけることがこんなに多いと思わなかった」と仕事のやりがいを語る。
本が好きで、以前は本屋で働いていたという山崎さん。接客だけでなく、新しいことにも挑戦したいと新しいアルバイト先を探していた時、「お客様案内とクリーンパトロール」という、JR東日本のグループ会社「東日本環境アクセス」の清掃スタッフ募集案内を見つけた。
若いスタッフが活躍する清掃現場
山崎さんが見つけたのは、「マーメイドスタッフ」という清掃クルーの募集。清掃以外に、来店したお客様への館内案内や誘導など、さまざまな仕事をすると聞いて興味を持った。しかし、それ以上に関心を持ったのは、「10~30代のスタッフが活躍している」という点だった。「清掃スタッフは年配の方が多いイメージだったので、若い人が多いというのは、珍しいと思いました」
決め手となったのは、普段よく買い物をする「ラスカ」で、実際にマーメイドスタッフが働いている姿を目の当たりにしたこと。たまたまエスカレーターのトラブルがあった時、すばやくお客様対応をするマーメイドスタッフの仕事ぶりに魅入られ、「自分もやってみたい」と入社を決めた。
清掃から観光客のご案内まで
現在、山崎さんが働いている「ラスカ小田原」は、小田原駅直結の駅ビルだ。利便性がよく、地元の買い物客と観光客でいつも賑わっている。特に、毎年5月3日に開催される小田原市最大の観光イベント「小田原北條五代祭り」時は、トイレ待ちの行列が、フロアのショップエリアまで長く延びるという。
「トイレから離れたショップまでお客様が並ぶので、お客様のご案内やペーパー交換などをスピーディーに行うよう心がけています。少しでも空いているフロアをご案内したり、てきぱき誘導したりするなど、できるだけお客様をお待たせしない工夫をいつも考えています」