昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

2018/11/27

寝入りばなに寝汗をかく理由

 人間も寝入りばなに寝汗をかきます。これこそが成長ホルモンによって体温が上がっている証拠なのです。

 もうひとつ、冬眠中の動物は筋肉を使うことはありません。しかし、そのままでは春に目覚めた時には全身の筋肉が弱ってしまい、そこを敵に襲われたら非常に危険です。つまり、眠っている間に筋肉を鍛えておく必要があるのですが、この「睡眠中の筋肉強化」を担っているのが、成長ホルモンなのです。

 成長ホルモンのタンパク同化作用により、ただ眠っているだけで動物の筋肉は強化され、たくましくなっていきます。

 同じことは、ノンレム睡眠をとる人間の体内でも起きています。私たち人間の体の中でも、睡眠によって筋肉は強化され続けているのです。

 それだけではありません。ノンレム睡眠中の成長ホルモンには、様々な機能があります。そのひとつが「美肌作用」です。

©iStock.com

良質の睡眠が美肌を作る

 私たちは昼間の活動中、知らず知らずのうちに皮膚を傷めています。特に大きなダメージを及ぼすのが紫外線ですが、肌には紫外線の攻撃から自分の身を守るための防御機構があります。「メラニン色素」です。

 多くの人はこのメラニン色素のことを「シミの元凶」といった悪いイメージで捉えているようですが、実際はそうではありません。紫外線の攻撃を防ぎ、肌の健康を守るために現れる、正義の味方なのです。

 ただ、昼間は活躍するメラニン色素も、夜になると必要性が薄れます。そのまま皮膚に残っていると、本当にシミの元凶になってしまいかねません。

 そこで、昼間活躍したメラニン色素を、夜、眠っている間に回収する必要が出てくるのですが、それを担当しているのが成長ホルモンなのです。夜、良質の睡眠を取ることは、実は美肌にとっても大切なのです。

 もちろん、日中に傷ができるのは肌ばかりではありません。体の内側、特に食べ物が通過する消化管だって様々な刺激を受けて、傷ができていきます。

 しかし、ここでもやはり成長ホルモンが作用して、粘膜の傷を修復する働きを見せてくれます。冒頭でも触れた通り、細胞の修復機能に限界が生じるとがん細胞が現れて、代わりにこの作業に就きます。しかし、成長ホルモンが細胞修復作業をしてくれれば、がん細胞の出現を未然に防ぐことにつながります。早い話が、成長ホルモンには抗がん作用があるということになるのです。良質な睡眠はがん予防の上で非常に重要だということが、これでおわかりいただけたでしょうか。

 では、ノンレム睡眠の後に訪れるレム睡眠にはどんな役割があるのでしょうか。