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「恋愛とセックス、もうしない」――内田春菊、大腸がんと人工肛門(ストーマ)を語る

内田春菊インタビュー #2

2018/12/13
note

本当に「恋愛はもうしない」?

──「恋愛はもうしない」と宣言されていますが、恋愛はもう卒業というお気持ちですか?

内田 人間関係のストレスは体にこたえるので、恋愛なんてもってのほか、という気持ちです。恋愛ってしようと思ってするものではないですけど、なんか私の場合、母から夫まで、みんな私よりだんだんお金の方が好きになるんですよ。3番目の夫なんか明らかに最初からヒモでしたし、2番目の夫もヒモのくせに今も私から慰謝料取ってるし。恋愛相手がヒモにならない確証はないので、だったらもう恋愛はいいや、という感じです。

 

──人工肛門でもセックスも妊娠もできるんですよね。

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内田 それは病院でも説明がありました。でも、もう私、妊娠はできませんし、たぶんセックスもしないので。若い男の子から「飲みに連れて行ってくださいよ」とか言われると「もう酒飲まないしな~」と思うし、自分より年上の人に、妙にギラギラと「毎日エロDVD見ているんだよね」とか言われると、「なんで私に言う?」と嫌悪感しかわかないですし……。「私、がんで人工肛門になっちゃったんですよ」と言ってがっかりしたような顔をされた時は、「ああ言ってよかった」と思いました(笑)。

──内田さんがそれだけ魅力的だからでは。

内田 気持ち悪い(笑)。私、昔から誘われるのが嫌いなんですよ。たぶん、私という人間の都合のいいところだけを見ているから誘ってくるんだな、というのがよくわかるので、嫌なんです。若い頃は誘われたら嬉しいと思っていたんですけど、大体うまくいかないので、もうそういうのはやめて、自分から好きになった相手とちゃんと恋愛しようという思想に変えたんです。でも、それでもうまくいかないんですけどね。

 

──好きになってしまうと、相手の欠点も見えなくなってしまいます。

内田 それで失敗するんですよね。最後の元カレがひどかったんですよ。別れた後に、「『お前、内田春菊とつきあってた助監督だろ?』って有名な俳優さんに言われたんですよ」とか嬉しそうに報告してきたり。いや、別れてるし、関係ないよって私は思うんですけど、意図のよくわからないことをする人で。最初は彼がいてくれて本当に助かったんですけどね……。