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連載近田春夫の考えるヒット

歌いこなしてみたくなる「あいみょん」の“挑戦的”な曲――近田春夫の考えるヒット

2018/12/12

『今夜このまま』(あいみょん)/『オールドファッション』(back number)

絵=安斎 肇

 流行歌の傾向を考えるとき、社会や時代の影響/反映は無視できないものであろうが、我が国で曲がヒットする場合に限り、普遍的(不変的)とでも申そうか、世の流れなどとは一切無関係な、絶対の条件の存在は認めざるを得ないのではないか? というのがずーっと持論であった俺にも、とうとう自説を撤回せねばならぬ日は来てしまったのか!?

 そんな気配を実感し出したのが先般、自身38年ぶりのソロアルバム『超冗談だから』吹き込み最中のことであった。

 というのも実は今回のレコーディング、メロディの大半を今jpop界で売れっ子の、若手(だと思う)職業作家の面々にお願いしていたわけなのだが、結果手元に届けられた旋律群には、ひとつの共通する特徴があるのに気付いた。どれもパッと聴いただけではなかなか覚えられない(笑)。

 勿論、書き下ろしの故初めて接する曲ばかりで馴染みがなかったということもあったろう。が、それだけではない。ひとつのフレーズの終止するまでの道のりが長く、加えてシンコペーションが重要であったり、またさりげない転調なども組み込まれていて、構成要素が多く複雑で、咀嚼して自分のものにするのには結構努力もいるのである。なので、それら楽曲をそらんじて歌えるようになった時、なんだか難易度の高いゲームをクリアしたような快感――それは歌の世界に入り込むことの官能的な興奮/陶酔などとは種類の違う、いわゆる達成感的な喜びだ――に襲われた。

 冒頭の話題に戻ると、俺が絶対と信じていたのは、日本では何が何でも歌い易く(覚え易く)ないと曲商売は通用しないのでは? なのだった。

 ところが最近のヒット曲ときた日には、その自説に当てはまらぬものも多かったりする。すなわち、一度や二度ぼーっと耳にした程度ではそう簡単には口ずさめない……。しかし半面そういった作りの曲には、一旦努力をして自分のものにしたあかつきには、カラオケで誰もがすぐ歌えるような曲を選択するのに比べ、遥かに優越的な喜びが待っていることを、図らずも自身久々の歌入れで勉強をさせられた格好(?)の俺だったが、いい換えるならば、要するにもはやこの時代、曲の楽しみとは聴くより歌う、いや“聴かせる”が主流となってきてしまったのではあるまいか。

 そうした述べてきた前段に齟齬がないとすれば、このところのあいみょんへの高評価にも、俺は合点がいくのだ。

『今夜このまま』に思う何よりは「是非ともこの曲を歌いこなしてみたい」とリスナーをして挑戦的(努力してみたい的かな)な気分にさせる、程良く多めの情報量を、メロディならびに歌詞が有していることで、それこそ塩梅というのなら、まさしく今マーケットを支えてくれている層が音楽に求めているバランスがここにはあると思うので、是非チェックしてみて下さいね。

今夜このまま/あいみょん(ワーナー)紅白初出場も話題のあいみょん。ドラマ『獣になれない私たち』主題歌。配信ランキング上位をキープ。
オールドファッション/back number(ユニバーサル)最近メンバーの既婚報道も出た彼らの、ドラマ『大恋愛~僕を忘れる君と』主題歌。

 back number。

 作品アベレージの安定性に、プロを感じさせられた思いだ。

今週の報道「この間、高速道路の事故のニュースで、見出しが“ポルシェ炎上”ってなっていたけれど、これが国産車の事故だったら“スズキ炎上”とか“トヨタ炎上”とか絶対出ないよね。ポルシェだったら許されるのはおかしくないか」と、12/22に渋谷HMVで「雑談会」を予定の近田春夫氏。「こんな不公平、オレがカルロス・ゴーンなら許さないね!」

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出典元

小室圭さんが急接近 NY女傑弁護士の正体

2018年12月13日号

2018年12月6日 発売

定価420円(税込)