ドラゴンズは負けて強くなっていく
あらためて、山本先生に歌詞に込めた想いを聞いた。
「想いは全部に込めていますが、特に若い選手には想い入れがあります。鈴木翔太とか伊藤準規とか、一軍と二軍の間のギリギリの選手たちに、(大声で)『上がってこいよーっ!』という想いを込めて歌詞を書きました。表舞台の下に、若くして苦労している人たちがいる。その苦労は絶対、後になって実るから! そこに対するエールです」
レコーディング中、「与田監督が大好きだから作ったんだよ!」と話していた山本先生は与田監督についてどんな印象を持っているのか?
「知性的だと思います。星野イズムを受け継いでいると聞いたけど、それよりも知性を感じますね……星野さんが知性的じゃないということじゃないよ!(笑) 間違ったことをしているな、と思うこともありません。意図や考えがあってやっているんだろうな、と思います」
「燃えよドラゴンズ!」を「12球団の中で一番いい歌ですよ!」と断言する水木さんにこれまでのドラゴンズの戦いぶりを聞くと、山本先生とほぼ同じ答えが返ってきた。
「僕、ドラゴンズが負けると、去年まではけっこう悔しい思いをしていたんですよ。でも、今年は『あ、いいじゃない!』と思うことが増えました。負けて強くなっていくし、失敗して強くなっていくんですから。負けた試合は経験になるし、勝った試合は喜びを感じる。『これから先のドラゴンズが楽しみだ!』という気持ちで今日は歌いました」
水木さんの若手選手への期待も大きい。
「ドラゴンズには、この歌詞に入っていない若手の選手もたくさんいるんです。歌詞に入っていない選手が大活躍したらどうしよう! と山本さんは思っていると思いますが(笑)。それはそれでいいですよね! ライブで歌うとき、選手の名前を変えて歌うのも面白いと思います」
水木さんと山本先生は、離れた場所でインタビューしても驚くほど答えが似通っていた。水木さんは「ドラゴンズへの想いが共通しているから、レコーディングも早く終わったんだよ」と笑う。
なお、今回のCDには山本先生が現役時代の与田監督に捧げた「好きよストレート、だから今夜もここに来た」も収録される。1991年に録音したバージョンをそのまま収録しており、メインボーカルは「ピンクピッギーズ」。2011年に惜しくも41歳で生涯を閉じた声優の川上とも子さんの歌声も含まれている。現在のドラゴンズと与田監督にエールを送る盤なのだ。
最後に、40年以上にわたる「燃えよドラゴンズ!」の歴史の中で、今回初めて自らプロデューサーを務めた山本先生が記した「製作理念」をお届けしよう。ここには取材中に「私はファンですから激励するだけです!」と話していた山本先生の気持ちが詰まっている。
「勝っても負けても引き分けでも、あまり気にしない、
与田剛監督がベンチにいる姿こそ、悠久な意義である。
大きく、勇ましく、微笑んでいるぞ!
応援し、激励することが、私たちファンの使命だ。
打順も代打も先発もリリーフも、全然気にしない、
選手全員が中日野球を楽しむ姿こそ、深遠な意義である。
可愛く、愛しく、打ち、駆け、投げているぞ!
拍手し、激励することが、オレたちファンの使命だ。
でもね、そりゃあ優勝してほしいさ!
そうだよ、胴上げを見たいよ!
だから! だから!
燃えよドラゴンズ!」
勝っても負けても引き分けても、ドラゴンズファンのドラゴンズへの愛が変わるわけじゃない。それは僕もあなたもそうだろう。さあ、今年も球場で、家で、あらゆる場所で「燃えよドラゴンズ!」を歌い上げよう。「令和の激励」で応援はさらに盛り上がり、ドラゴンズの選手たちにも活力がみなぎるはずだ。
いいぞ がんばれ ドラゴンズ 燃えよドラゴンズ!
【お知らせ】
「燃えよドラゴンズ!2019 令和の激励」は7月20日、ベラ・ボー エンタテインメントより発売
【お知らせ2】
「スーパーアニソン魂 2019“夏の陣”」(8月11日/東京)、「ANIME JAPAN FES 2019“大阪夏の陣”」(8月18日/大阪)にて、水木一郎、山本正之が共演!
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