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文在寅、慰安婦…「反日」ばかりじゃない。99歳で他界した韓国軍人と日本を繋ぐ物語

元韓国駐在武官が回顧する“伝説の韓国軍大将”白善燁 #1

2020/07/12
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 満州軍官学校を卒業し、知日派としても知られた“伝説の韓国軍大将”白善燁(ペク・ソニョップ)氏が、7月10日に死去した。99歳だった。昨年、元自衛隊陸将の福山隆氏は、文春オンラインに白氏との交流について寄稿していた。年齢や日付、肩書き等は掲載時のまま、同記事を再公開する。(全2回の1回目/後編に続く

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 2017年に文在寅政権が誕生後、現下の日韓関係は最悪の状態だ。文喜相韓国国会議長の天皇謝罪発言、自衛隊機に対するレーダー照射事件、従軍慰安婦問題、徴用工問題、竹島問題など、韓国は反日に向かって暴走している感がある。

 7月4日には日本が半導体原料の輸出制限を発動。事態は“日韓貿易戦争”にまで発展しつつある。1990年から93年まで在韓国日本大使館で防衛駐在官を務め、日韓関係の重要性を深く理解していると自認する筆者でさえも、昨今の韓国政府の反日政策には強い憤りを感じる。

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文在寅大統領 ©getty

「韓国人の中にあれほど偉大な方がいる限り、大丈夫」

 そんな時、私は自分の心をクールダウンする術として、ある偉大な韓国軍人を振り返ることにしている。「韓国人の中にあれほど偉大な方がいる限り、日韓関係は大丈夫」と自分に言い聞かせるのだ。

 その偉大な軍人とは、韓国陸軍の白善燁(ペク・ソニョップ)退役大将である。ちなみに、白大将は1920年11月のお生まれで、もうすぐ白寿(99歳)を迎えられる。白大将が白寿をむかえることは滅多にない語呂合わせでもある。

白善燁(ペク・ソニョップ)退役大将 ©文藝春秋

 日本語を流暢に喋り、日韓双方にとって両国関係が極めて重要であることを深く認識しておられる白大将は、現下の日韓関係を深く憂慮されていることだろう。