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過去には中村晃や清水達也を輩出

 野球の普及振興活動を積み重ね、今回、埼玉西武ライオンズジュニアユースの発足に至った。8月22日にメットライフドームで最終選考を行い、20人のメンバーを選出する。

 活動19年目を迎えた埼玉県選抜は過去、中村晃(ソフトバンク)や清水達也(中日)、今秋のドラフト候補に挙がる豆田泰志(浦和実業高校)ら好選手を輩出してきた。そんな埼玉県選抜から今年こそライオンズに選手輩出へ! そんな期待をかけたくなるが、プロ野球選手の育成だけを目的にすると、本質からずれてしまうと武田監督は言う。

「ライオンズジュニアユースからプロやライオンズの選手が出れば、もちろんうれしいことだと思います。でも、僕たちがそこを一番に目指したら、野球振興から離れてしまいかねません。中学野球から次のステップにつなげるための前段階というか、中学生たちに希望を与えたいというのが、ライオンズジュニアユースを立ち上げた目的です」

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 子どもの頃から甲子園やプロ野球を目指す中学生は、軟式の野球部より、硬式のボーイズ、シニア、リトルなどに進む傾向がある。それも中学野球部が人数を減らしてきた要因の一つだ。

 そんななか、埼玉県の中学生野球連盟とライオンズがタッグを組み、独自のエリート教育を進めていけば、野球界に一石を投じることができるかもしれない。

©中島大輔

心技体がそろう、真のエリートを育成

 今回選ばれる20人の選手は、ライオンズと同じユニフォームをまとって活動を行っていく。埼玉県中学生野球連盟やライオンズアカデミーのコーチから指導され、練習や県外チームとの交流試合を行う予定だ。

 加えてスポーツマンシップや栄養学など、今後一流アスリートに育っていくための講習をオンラインで受ける。心技体を備える真のエリートを、埼玉県とライオンズが一緒に中学時代から育成していこうという取り組みだ。

 今回の選考から漏れた選手についても、オンラインでサポートしていければと武田監督は考えている。

「今回選ばれなかったとしても、高校野球、大学野球と進んでいったら、そこからプロが出る可能性も十分にあります。そのために何かできればと思っています」

 武田監督と蛭田監督はともに昭和58年生まれで、ライオンズでは中村剛也、栗山巧と同世代だ。中学世代で埼玉の野球界を支える二人の取り組みがライオンズと結びつき、どんな化学変化を起こすのか。楽しみな取り組みが、まもなく始動する。

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