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新人広報・三輪正義が“広報の先輩”つば九郎から教わった「仕事の極意」

文春野球コラム ペナントレース2020

2020/09/16
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つば九郎“先輩”を身近で見ていて驚かされたこと

 これが実に悔しいのですが、先輩は何をやっても不思議と許されます。特許庁は認めていないですが、「なにかしらの特許」を取得しているんです。その昔、広島のブラウン監督のマネをしてベースを投げたり、神宮球場の貴賓室で競馬新聞(しかも「競馬エイト」)を読んでいたり、社長同席のもと記者さんを集めて契約更改をしたり、ある意味やりたい放題です。巨人のマスコット・ジャビットがこんなことをやったら大変ですよね。

 オフには、筆談オンリーなのに、ドラゴンズのマスコット・ドアラとともに一流ホテルでディナーショーも開催していますよね。それも即完売。現役のときはショーで流すというコメントビデオを頼まれて協力しましたが「皆さん、毎年、結構な料金を払っていますが、騙されてませんか?」と真顔でカメラの向こうに訴えたほどです。

 でもそんな先輩を身近で見ていると、荒々しい言動や、やんちゃな仕草も相当計算されていることがわかります。先日、写真撮影に立ち会いましたが、淀みなく流れるようなポージングにも驚かされました。

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 先輩は自分をどう見せたら見ている人に喜んでもらえるか、ということを知っています。棒立ちになってピクリとも動かなくても、イニングの合間に自身のヘルメットを上に投げ、被ろうとする「空中くるりんぱ」が一度も成功しなくても、それがウケることを知っている。

「空中くるりんぱ」なんて正直、一体何が面白いんだろう? と思っていました。毎試合毎試合失敗の繰り返し。でもやり続けると、そこに不思議と意味が生まれてくるんです。最初はまったく見向きもされなかったのに、今やテレビ中継ではスーパースローで「くるりんぱ」がリプレイされ、実況や解説者の方々が「どうやったらヘルメットが入るのか?」と議論するようになっている。それがひとつのコンテンツとして成立しているんですね。なんでもないことでもやり続けると、周囲が巻き込まれていき、それが大きくなっていく。持続の重要性と周囲を巻きこむ力、広報の仕事をしてみて、この難しさに気づかされました。

「空中くるりんぱ」に失敗するつば九郎

「0」が「1」になり、それが「2」、「10」そして「100」にも広がっていく。僕が「0」から「1」を生み出そうとウンウン唸っているのに、先輩はいとも簡単にその壁を越えていく。実際、僕が企画のタイトルで悩んでいたら、一瞬でキャッチーなタイトルをつけてくれたほどなんです。

 先輩は果たして悩んだり、くるりんぱ以外で失敗することはあるんでしょうか? 全部成功しているんなら、1回くらい失敗してよ、と正直思うこともあります。

 そう言えば、この文春野球コラムでも1万を超えるHITを集め「歴代最高記録」を樹立しているそうじゃないですか。僕は仕事ではまだ肩を並べられるようになっていませんが、せめてHIT数でも並べたらなぁと思います。

 はたして、つば九郎はどんなことを思って日々仕事をしているんでしょうか? あの大きな目に新人広報の僕の仕事はどう映っているのでしょうか? 顔色は窺えませんが、一度聞いてみたいとおもいます。

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