文春オンライン

「お前は悪くない。千賀が悪い」…心に残る柳田悠岐選手の10の名言

文春野球コラム ペナントレース2020

2020/09/26
note

これが限界を突破していく人の考えなのかもしれません

『日々新たに』

 この言葉はレギュラーになりたての頃に柳田選手が帽子に自分で書いていた言葉です。良いこともあれば、悪いこともあるけど、毎日新しい気持ちで野球に取り組もうという気持ちから生まれた言葉とテレビのインタビューで答えられていました。

 野球は毎回ホームランを打てるわけではありません。打率3割のバッターでも3回に1回しかヒットを打つことはできません。リーグ優勝をするチームも全勝することはできません。勝率は6割程度、50回以上は負けるのです。

ADVERTISEMENT

 このように野球は個人でもチームでも悔しい思いをすることが多い競技で、毎日気持ちを切り替えることは本当に大変なことだと思います。そんな中で生まれたこの言葉にはたくさんの悩みと汗と涙が詰まっているのかもしれません。

 私達も勉強や仕事で毎日何かと向き合っています。悔しいこともたくさんあると思いますが、日々新しい気持ちで頑張っていきましょう。

©原愛梨

『穏やかな心』

 これは2017年から柳田選手が打撃の秘訣として言っていた言葉です。言葉の面白さから話題にもなりました。

 相手ピッチャーから強烈に意識される柳田選手は徹底的な内角攻めや勝負を避けられる場面が多くあります。そんな時にイライラして自分のバッティングを崩してしまっては相手の思う壺です。これに対して柳田選手が出した答えが穏やかな心なのです。常に冷静にいることでボールを見極め、打てる球を打つ。非常にシンプルですが、これも難しいことです。

 自分の欲や不満を抑えて、冷静に対応しないといけないことは、皆さんの仕事や学校でもたくさんあることでしょう。そんな時は柳田選手を思い出して、穏やかな心で乗り越えていきましょう。

©原愛梨

『野球最高!』

 これは2019年8月22日のヒーローインタビューでの言葉です。2019年は柳田選手にとって苦しいシーズンになりました。

 約4ヶ月のリハビリで長期間試合に出ることができませんでした。2週間前の8月8日の2軍復帰戦では試合後に「治るかどうかわからない不安があった」と涙をみせていました。

 そうして1軍に復帰して2戦目でホームランを打って、叫ぶように言った「野球最高!」から心から喜んでいる気持ちが伝わりました。

 2020年の柳田選手をみていると笑顔でプレーしていることが多くなったように感じます。怪我を通じて、より楽しむことを意識しているのかもしれません。

 言葉はシンプルですが、自分の好きなことを最高だと思うこと、好きなことをやれることに感謝することの重要性を教えてくれる言葉でした。

©原愛梨

『シンプル イズ ベスト』

 これは2018年11月9日に行われた日米野球の開幕戦でのヒーローインタビューでの言葉です。

 この試合で柳田選手は劇的なサヨナラホームランを打ちました。

「対戦のないMLBのピッチャー相手に対してどんな意識で打席に立ったのですか?」という質問に対して、「来た球を、当たる球をしっかり当てる。その中で自分のスイングをする」と答えた後に言った言葉が「シンプル イズ ベスト」です。

 これが柳田選手の原点であり、これまでの努力で辿り着いた答えなのでしょう。侍JAPANのユニフォームを着て、日本代表として戦うという究極の緊張感の中で、このように割り切って考えることができるのは本当にすごいと思います。

 おそらく私だったらプレッシャーで余計なことを考え込んでしまうでしょう。書道においても文字というより、シンプルに線と線の組み合わせなんだという考えはとても重要です。

 シンプルな1本の線が、他の線や文字を活かして作品を支えることもあります。私も何かに悩んで立ち止まった時、大事な勝負に臨む時、この言葉を思い出して原点に立ち返りたいと思います。

©原愛梨

『果てしなく』

 これは2019年3月30日の西武ライオンズ戦のヒーローインタビューでの言葉です。「今シーズンは何本打つ?」という質問に対しての答えになります。

 ここで「果てしなく」という言葉のセンスが柳田選手らしいですね。一般的には具体的な目標を立てることが良いとされますが、柳田選手には当てはまらないようです。確かに具体的な目標を立てると、そこに自分の限界を決めてしまうことになります。

「常に全力でプレーして、出来る限り打つ。そうすれば結果は後からついてくるはずだ」

 これが限界を突破していく人の考えなのかもしれません。柳田選手のように楽しむ心、謙虚な心、そして穏やかな心があればできるのでしょう。

 皆さんも目標を決める時に「果てしなく」としてみてはいかがでしょうか。自分の限界を突破できるかもしれません。

©原愛梨

 いかがだったでしょうか。今回は柳田選手の名言を10個集めてみました。

 どの言葉も柳田選手らしく、シンプルだけど深い言葉でした。私自身、見習いたいことや心に刻んでおきたいことだらけで、やっぱり柳田選手はスーパースターだなと改めて思いました。

 どの言葉が皆さんの心に一番届いたでしょうか。どれか1つだけが重要ではなく、全てが今の柳田選手の活躍の基礎になっていることでしょう。

 これから2020年シーズンは最も重要な時期になっていきます。優勝と日本一には柳田選手の活躍が必要ですし、どんな活躍をしてくれるのか今からとても楽しみです。そして柳田選手の言葉にも注目して楽しんでいきたいと思います。

 今回、紹介した言葉をそれぞれ作品にしてみましたが、より柳田選手の言葉の力強さやユニークさ、言葉の重みを感じていただければと思います。

 私も定期的にこの作品を見返して、少しでも柳田選手のように活躍できるよう頑張っていきたいと思います。

◆ ◆ ◆

※「文春野球コラム ペナントレース2020」実施中。コラムがおもしろいと思ったらオリジナルサイト http://bunshun.jp/articles/39939 でHITボタンを押してください。

HIT!

この記事を応援したい方は上のボールをクリック。詳細はこちらから。

「お前は悪くない。千賀が悪い」…心に残る柳田悠岐選手の10の名言

X(旧Twitter)をフォローして最新記事をいち早く読もう

文春野球をフォロー
文春野球学校開講!