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登板前日に地元埼玉のビールを!

 以上の2点を踏まえた上で、林さんは登板日前日に飲むのに最適なビールを教えてくれた。

 西武の地元、埼玉の地ビール「COEDO(コエド)」の「毬花(まりはな)」だ。緑のパッケージで、コンビニやスーパーなどでも売っている。

「IPA(インディアペールエール)というジャンルのビールで、ホップを大量に使用して作られるのが特徴で、リラックス効果は抜群です。グレープフルーツのさわやかな苦みと華やかな香りが最高。アルコール度数も4.5パーセントと軽めなので、次の日に残りにくい点もいいでしょう。何より、地元・埼玉の地ビールですから!」

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 と、ここまで聞いておきながら、私は大事なことを伝え忘れていた。

 2人が飲むビールは「験担ぎ」という観点から「エビス」に決まっているのだ。

 実際、平井は今季2勝目を挙げた4月4日のソフトバンク戦の前夜、宿舎近くのコンビニでエビスを買ったという。そのコンビニは品薄状態で、そのエビスが「最後の1本」だった。平井は「縁起が良い」と感じ、気分良く登板に向かうことができたのだという。

 選手にとっては大切な「験担ぎ」。当然、林さんもそれは理解している。「調子を落としたとき、気分転換に毬花を飲んでもらってどうなるか試してみてほしい」と言う程度にとどめた。

 そして、話は変わった。

「おれ、光成投手と一緒に伸ばしてるんですよ」

 見ると、肩まで伸びた髪が揺れている。「負けるまで髪を切らない」と公言する高橋のもう一つの験担ぎを、一緒に続けているのだという。

「日本で一番ビールを飲んでいる」と呼ばれる男のライオンズ愛は、本物だった。

©山口史朗

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