1ページ目から読む
3/4ページ目

ジムに行くたびに「教え魔」のオジサンに見つけられ…

 このような自己流の頑固な「教え魔」が増えているのがスポーツジムだ。実際に被害にあったという女性、白戸麻耶さん(仮名)に聞いた。

「軽い運動とダイエット目的で、有名なジムに入会したんです。本格的に鍛えている人が多く通っているということは知ってたんですが、家の近くにあったので、ここでいいかなと軽い気持ちで……。

 通い始めて2週間ぐらい経ったころ、タンクトップ姿のマッチョな中年男性が近づいてきて、『がんばってるね。どういう体を目指しているの?』と話しかけてきたんです。

ADVERTISEMENT

 ジムって、そうやって気さくに会話する文化があるのかと思って、『ウエストを細くしてメリハリのある体になりたいんです』とか適当に話してたら、そのオジサンは『それなら広背筋だね。背中が大きくなれば自然とウエストが細く見えるから』と、私をフリーウェイトエリアに連れていきました。

 そこで私に手取り足取り教え始めたのがチンニング(懸垂)。台がないと手が届かないくらいの高さにあるバーにぶら下がって、反動を使わず背中の筋肉と腕の力だけで体を上げ下げするトレーニングなんですけど、いきなり『やってみて』と言われてもそんなの無理に決まっているじゃないですか。

 でも、オジサンはお構いなし。浜口京子のパパみたいに『気合入れろ! できるできる!』と連呼してきて、やらないと終わらない雰囲気になり、その日はチンニングを10回3セットもやらされました。しかも、補助という名目で私の体も触りまくり。オジサンは親切でやっているのでそんなつもりではないんでしょうけど……。

 結局、そのジムに行くと毎回そのオジサンが私を見つけて教えに来るので、翌月に退会しました」

ジムあるある「正しいフォームを教えてやるオジサン」

 スポーツジムは見た目のボディラインで初心者を見分けやすいようで、新人が入るとすぐに教え魔が近づいてくる。ターゲットになるのは女性だけではない。最近スポーツジムに通いはじめた青柳美智雄さん(仮名)は被害を語る。

「これは『ジムあるある』だと思いますけど、初心者に対して『正しいフォームを教えてやるオジサン』がいるんですよ。

 ある日、バーベルスクワットをしていて、起き上がるときに僕がふらついてしまったことがあったんです。単純に、もう5セットぐらいトレーニングしていたので、疲労で脚がパンパンだったせいなんですけど、そのタイミングで通りかかったオジサンが『そんなやり方ではケガするぞ。正しいフォームを教えてあげるよ』と言い出して。

 教えてくれるのはありがたいんですが、その日はもう切り上げようと思っていたので『ありがとうございます。ただ、今日は疲れてもう動けないので、次の機会に教えてください』と丁重にお断りしたんです。ところが、オジサンは『いいからもう1回やってみろ』と逃してくれず、さらに『限界を超えた1回が筋肉を作る』という理論をくどくど話されて……。こっちは疲労困憊だったのに、そのままさらに3セットもスクワットやらされました」