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攻撃陣の粘り、投手陣の開き直り、そして…星野伸之さんが考えるオリックス優勝の理由

文春野球コラム ペナントレース2021

2021/11/13
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中嶋監督の言葉が投手陣に与えた影響

 次に、投手陣に関しては、山本由伸投手の存在が大きかったと思います。

 昨年までは、なかなか勝ち星が増やせませんでしたが、入団してきた当時から自分の課題を認識し、やるべきことを明確にできている投手でしたので、今年の成績は、これまでの積み重ねが結実した成長の証です。

 一方でブルペン投手陣は、交流戦の前までは上手くいっていませんでした。さらに、交流戦最初のカード横浜DeNAベイスターズ戦で負け越し、これまでと同じようにズルズルと崩れてしまうのではないかと心配していました。

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 しかし、ここから投手陣が思い切って勝負するようになり、良い意味での開き直りができたのだと思います。捕手の伏見選手も、意識的に真ん中に構えたりしながら上手くリードしているなと感じていました。そのことを優勝後のインタビューで本人に聞いたところ、監督から「思い切っていけ」と言ってもらい、真ん中に構えていたと話していました。

 中嶋監督は、中継ぎ、抑えが打たれた時も「使っている監督の責任」と話していたので、ここでも監督の言葉が選手に影響を与えていたのだと思います。結果、横浜DeNA戦以降、交流戦全てのカードで勝ち越して優勝。振り返ると、ズルズル崩れそうになったところを我慢できたことが選手たちの自信に繋がり、非常に大きな分岐点になったのではないかと感じます。過去に連敗を続けていた時とは全く違うチームへと変貌しました。

選手の特性を見極めマネジメントする能力

 最後に、中嶋監督の選手の特性を見極めマネジメントする能力が素晴らしかったと感じています。選手を育てながら勝つということは、理想でありながらも非常に難しいことです。それでも中嶋監督は、海外でのコーチ経験を惜しみなく伝え、自らの信念を貫き通したのだと思います。

 宮城投手や紅林選手などの若い力を信じて使い続け、宗選手を外野から内野へコンバートするなど、色々と試しながら選手たちの可能性を引き出し、適材適所に当てはめていきました。

 良い時もあれば悪い時もある、立ちはだかる壁を如何にして乗り越えられるか、今シーズンを通じ、改めて1年間戦うことの大変さを感じました。だからこそ、壁を乗り越えたオリックスは、確実に強いチームへ生まれ変わったと思います。常勝オリックスへ、中嶋監督のさらなる手腕に期待しています。

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