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「投手出身で監督として成功するのは簡単じゃない」元ヤクルト・ロマンと高津臣吾監督との絆

文春野球コラム ペナントレース2021

2021/11/15

現在は息子が通う高校で投手コーチ

「今は息子が通ってる高校でピッチングコーチをしてるんだ。息子は来年卒業で、(メジャーリーグの)ドラフトで指名される可能性もあるんだよ。もう(身長186cmの)オレよりも背が高くなって、速球とチェンジアップがいいから、今はスライダーを磨いているところさ」

最近のロマン(左)。ボストンの焼き肉店で息子のジョアン・セバスティアン君と ©Orlando Roman

 ロマンがヤクルトで投げていた頃は、いつもはにかんだような笑顔を見せる少年だった息子のジョアン・セバスティアンも、今や18歳。プエルトリコのサンフアンにあるリーダーシップ・クリスチャン・アカデミーで父親譲りのピッチャーとしてプレーしていて、ロマンはそこでコーチを務めているという。

「スワローズのスカウトになりたいし、“旧友”に会いたいよ」

「もともと(引退したら)コーチかスカウトになろうと思っていたから、計画通りだよ。もちろん、いずれはプロでコーチをしたいと思っている。それがオレのプランだからね。でもね、今でもスワローズのスカウトになりたいという気持ちもあるんだ。また日本に行って“旧友”たちに会いたいよ」

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 そう話すロマンの“スワローズ愛”は、退団から6年経っても変わらない。チームが優勝争いの真っ只中にあった9月下旬には、自身のツイッターで「Go Go Swallows」とエールを送り、前回優勝時の記念Tシャツの画像も投稿。10月26日に優勝が決まると、「Congratulation(おめでとう)」と祝福のツイートをした。

優勝決定日、雄平のサヨナラヒットで勝利投手に

「ユウヘイ(雄平)が引退したのも知ってるよ。素晴らしいキャリアを残したことを誇りに思う。最初はピッチャー、それから外野手だろ? それがいかに困難なことか。人間的にも素晴らしい男だし、野球に関しては常に一生懸命だった。グラウンドの中でも外でも良き友人だったよ。それに、あの(2015年の優勝を決めた)サヨナラヒットも忘れられない。あれでオレが勝利投手になったんだ(笑)」

 今月10日から始まったクライマックスシリーズ・ファイナルステージを前に「2015年の時のようにジャイアンツを倒してほしい」と話していたロマンの願いが叶い、ヤクルトは3勝0敗1分(1勝のアドバンテージを含む)で、6年ぶりの日本シリーズ進出を決めた。

「スワローズが勝つよ。イシカワに日本一になってほしいんだ」

「日本シリーズ? スワローズが勝つよ。イシカワに日本一になってほしいんだ。これまでのキャリアを考えたら、彼はそれにふさわしい」

 前回優勝の2015年、日本シリーズでヤクルトが対戦したのはソフトバンク。第3戦では山田がシリーズ史上初の1試合3打席連続本塁打を放ち、リリーフで登板したロマンが勝利投手になったものの、勝ったのはこの試合だけ。プロ14年目にして初めて日本シリーズの舞台に上がった石川は、第1戦、第5戦で先発したが、日本一には手が届かなかった。

「スワローズの幸運をプエルトリコから願っているよ」

 今回の相手は中嶋聡監督率いるオリックス。前回と相手は違えど、ヤクルトが6年前の借りを返して“盟友”の石川、そして高津監督が日本一の喜びに浸る──。その瞬間が訪れることを、間もなく43歳になるかつてのV戦士は、海の向こうで心待ちにしている。

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