「鷲が掴む!」というチームスローガンを掲げ10年ぶりの優勝に向かう楽天イーグルスは新球場であるエスコンフィールドHOKKAIDOで見事に開幕カードの勝ち越しを掴んだ。

 11年ぶりにNPBの開幕投手を務めた田中将大選手がゲームを支配し、12球団で誰よりも早い白星をマークした。2戦目も瀧中瞭太選手が好投を見せたが、チームはサヨナラ負けを喫した。

 翌日、開幕カードの勝ち越しがかかった4月2日。先発を託されたのが7年目の藤平尚真選手だった。この日の相手先発はドラフト2位ルーキーの金村尚真選手で偶然にも藤平選手と名前が全く同じ、血液型も星座も同じで「尚真対決」としてラジオ実況で何度も叫ばせてもらった。

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 その日、藤平選手は6回3安打1失点の好投で勝利をたぐり寄せ、今シーズン記念すべき初勝利を挙げた。試合後に藤平選手は金村選手との投げ合いに「初めて漢字まで同じ人と出会ったので運命なのかな。いいピッチングし合えたのはよかったかなと思います」と振り返った。

 そんな藤平選手に昨年のオフから開幕直前までに何度かに渡りRakuten FMのインタビューをさせてもらったので、今回は藤平選手にスポットを当ててご紹介したい。

好きな卵料理ドラフト1位は「ピータン」の藤平尚真選手 ©河内一朗

先輩・岸孝之との自主トレで教わったこと

――開幕直前ですがオープン戦も好成績を残されましたね。

藤平選手「オープン戦でも最初から長いイニングを投げるチャンスをいただいて、すべてが合格点ではなかったですが、今までやってきたことをパフォーマンスとして出せたかなと思います。試合を重ねるにつれて自信を持ってボールを投げられるようになりました」

――結果を出せた背景としては岸孝之選手との自主トレーニングも大きいですか?

藤平選手「岸さんと自主トレを2人でするのは今年が初めてでした。毎年、試行錯誤が多い自主トレになるのですが、今年は最初から最後まで決めたことをやり抜いて、自分で気付いて、自分で修正をして、分からないことを岸さんに聞くということをしていました」

 そしてこう続いた。

藤平選手「僕の中では何か相談する時は真っ先に岸さんのところに行きますし、これまでも仲良くさせていただいていましたが、今回の自主トレでより距離感が近くなりました。気持ち的にムラがある時も補ってもらって、オープン戦の時も支えてもらいました」

 現在NPBの現役選手の中で、一番三振を奪っているプロ野球界の至宝・岸孝之選手と初めて2人で挑んだ自主トレーニング。岸選手にそのことについて尋ねると「自分で気付いて、僕も気になったことがあれば少し話すということをやっていました。『気付き』ですね。やはり自分で気付いてやるのが一番大事で、それをシーズン中も継続するのが大切かなと思っています」と話した。

 藤平選手が球界の偉大な大先輩から教わった、自分で気付くということ。自分のことをより深く理解し、探求することで見えてくる自分の世界があったのだろう。それでも分からないことは、絶大な信頼を寄せる岸選手に聞いて教わって学んだのだろう。