「自分の為だけではなく人の為に野球が出来るようになった」
藤平選手に昨年末、自分の中で掴んだことについて聞いた時の話である。
藤平選手「これまでは自分の為に野球をずっとやっていて『活躍したい。お金を稼ぎたい』という気持ちを持ってやっていました。ただそれ以上にコンディショニングコーチや監督・コーチを含めて、すごく期待をしていただいていますし支えていただいているので、その為には結果で恩返しがしたいなという気持ちが今は強いです。自分の為だけではなく人の為に野球が出来るようになったところですかね」
そう話した4か月後、自らの力で先発ローテーションの切符を掴み、開幕カードの勝ち越しに大きく貢献した。有言実行の藤平選手が手に入れた今シーズンの1勝目は、岸選手をはじめ、お世話になった沢山の方々、どんな時にも熱い応援をくれるファンに対しての恩返しになったにちがいない。
誰かの為に努力をし、己を奮い立たす覚悟が、声からも表情からもマウンドからも存分に感じられた。横浜高校時代からプロ野球の世界で結果を出して認めてもらわないといけないと教わっていた藤平選手が今シーズンへの思いを口にしてくれた。
藤平選手「今年にかける思いは本当に強いですし、チームが優勝するために、もっと上の位置で野球をやりたいという気持ちがあります。個人の成績というよりもチームの勝ちを優先して、とにかくチームが勝つために貢献したいです」
すべてはチームの勝利の為に。チームの優勝の為に。喜んでくれるファンの為に。そういった言葉が凝縮されていた気がした。同年代である1998年生まれの選手がパ・リーグで台頭している昨今のプロ野球で、今年こそは楽天イーグルスの若き本格右腕・藤平尚真選手が2ケタ勝利を挙げて吠えまくる2023シーズンだと信じている。
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