一軍復活は梅津晃大が「心からスッキリできる日」
長い復帰ロードの歩みは驚くほど遅い。ボールを初めて投げたのは6月だった。距離3m、球数5球のネットスロー。「怖かったです。痛みはなかったんですが、気持ち悪いというか、不安というか」と振り返る。ネットスローの距離を伸ばし、7月にやっとキャッチボール。10mから始め、12月には8割の力で40mまで投げられるようになった。
「全力で40mがリハビリの最終項目なんです。それを今年の読谷キャンプの第1クールでクリアできました。これまで何度も心が折れそうになりましたが、支えてくれた人たちのことを思うと、乗り越えられました。ランニングもトレーニングも限界までやり切りましたし、食事管理も徹底しました」
5月3日、ついに実戦復帰した。ソフトバンク三軍との練習試合で1回無失点。
「すごく緊張して、力が入りました。3アウトを取って、ベンチ前で色んな人とハイタッチしている時にリハビリ卒業を実感しました」
5月11日のオリックス戦は3回3失点。
「その日は落ち着いて投げられました。でも、点を取られて、ホームランも打たれて、めちゃくちゃ悔しかったです」
5月18日の阪神戦は5回途中無失点。
「フォークをしっかり落とせましたし、バッターと勝負できました。登板後、肘は痛くなかったですが、肩や上腕二頭筋、背中や下半身は張りました。やはりピッチングは全身運動ですね」
梅津がプロで戦うピッチャーに戻った。次は5月28日のオリックス戦に先発予定。「焦りはありません。今は二軍の首脳陣に『梅津は無事ですよアピール』をしています」と笑顔だ。
ただ、近い未来に一軍復活があるはずだ。梅津にとってそれはどんな日になるのだろうか。
「1年以上も多くの人に心配や迷惑をかけてきて、自分の仕事ができなくて、どこかモヤモヤしたものがあります。だから、解放される日、心からスッキリできる日じゃないですかね」
みんなが待っている。
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