佐々木の一瞬のスキを見逃さなかった4番・大山
もちろん、球数を投げさせるだけで得点を奪えなければ試合に勝つことはできない。そんな場面で“魅せて”くれたのが頼れる4番・大山悠輔だ。6回裏、1死二塁の場面で打席に立つと、カウント1ボール2ストライクから佐々木が投げたフォークボールが暴投となり、ランナーが三塁に進む。
佐々木は三塁にランナーを背負っても躊躇なく低めに決め球のフォークを投げることができる投手だが、さすがに直前の“暴投”は脳裏に残るはず。5球目、高めに浮いた143キロのフォークを大山は“狙っていた”かのように見事に捉え、チーム初安打となる先制タイムリーを放った。
好投手を相手に「少ないチャンスを得点に結びつけ、最少失点でしのぐ」ことは常套手段。ただ、それを体現できるチームは意外と少ない。
昨日の阪神タイガースは、それをやってのけた。
近未来のエース・才木が相手を封じ込め、主砲・大山がエースの一瞬のスキをついて点を奪う。佐々木朗希という“怪物”を相手に、“これしかない”という展開で勝利を収めた。
まだ交流戦もはじまったばかり。「A.R.E.」を口に出すのが早すぎるのは間違いないが、昨季、シーズン通して苦しい戦いを強いられた阪神タイガースとは違う。
6月4日のロッテ戦が、タイガースファンに大きな、大きな期待を抱かせる一戦になったのは間違いない。
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