ライオンズの若手選手をファンや記者は“若獅子”と表現する。その若獅子の中で今、最も注目されているピッチャーと言っても過言ではないのが豆田泰志投手だ。
地元埼玉県越谷市出身で高校は浦和実業。2020年育成ドラフト4位でライオンズに入団。プロ3年目の今年7月21日に支配下登録されたばかりの20歳、ピッチピチな若獅子だ。
遊び半分&先輩の一言で覚醒
注目されている要因は二つ。
一つ目は投球フォーム。今年の6月まで三軍にいて制球が定まらず、ブルペンで遊び半分にオリックス山本由伸投手のフォームを真似て投げたところ、ライオンズOBで現在若獅子寮副寮長など複数の肩書きをもつ武隈祥太さんが「それで投げろよ」と一言。
これがきっかけとなって制球力も上がり、実戦で結果も出して支配下登録を勝ち取る要因になった。
二つ目は一軍デビューから5試合連続で被安打0。更にデビューから8試合連続無失点投球という素晴らしい結果を出していることだ。
豆田投手のお顔はあどけなく、まだ高校生と言われても信じてしまうほど。まさに若獅子らしいルックスなのだが、支配下登録の会見で声を聞いて驚いた。野太く低い。
“プロ向き”の性格
僕は豆田投手が入団直後にテレビ番組のインタビューで一度お話を聞いているのに、その記憶は何処へやら。お顔とは釣り合わないロートーンボイスにビックリ。表情も喜怒哀楽はさほどなく、むしろ落ち着いているように見えた。
若獅子とは思えない、まるでベテランの様。
その会見では「目標の選手はいない。自分が目標とされる選手になりたい」と言い切った。
言葉にも若手感はあまりない。というか、あどけないのは見た目だけで、中身は立派な大人なのだ。
投げれば最速151kmのストレートでどんどん押していく。7月28日の楽天戦で訪れた一軍初登板から5試合目にはホールドシチュエーションで登板。三者凡退で終え見事初ホールドを記録した。
ただ本人は浮かない表情でベンチに引き上げる。3個のアウトのうち2個が外野のウォーニングトラックまで飛ばされるフライで、あわや柵越えの当たりだっただけに恐らく納得いかない内容だったのだろう。
あどけない顔が一転、太々しい顔を見せた。この表情を見た時に豆田投手は“プロ向き”だなと感じさせられた。
同時に、先発投手としての豆田泰志を見たいという思いが込み上げてきた。