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秋葉原に1店舗 オノデンは「家電量販店の常識」を絶対に真似しなかった

「何をするか」よりも「何をしないか」

「肩たたきは、うちはしない」

 オノデンは小野さんのお父さんで創業者の小野仁助さん以来、規模の拡大を目指さずにお客さんへのサービスの濃度を上げる、という方針を貫いてきた。売り場に立つ50人の店員はほぼ正社員で、既に書いたように定年制度は一応あるものの「60歳になったから辞めてください、という肩たたきはうちはしない」という。

「居心地がいいのか、30年、40年と長く勤めてくださる社員が多いです。その方たちがみんな自分のお客さんを持っているのがうちの強み」

 

メーカーから派遣されるスタッフがいない

 他の家電量販店を見渡せば、アルバイトや、メーカーから派遣されてきたスタッフが売り場で説明することも多い。しかし、オノデンにはそれがない。

「量販店で目立つのは携帯(メーカーから)の派遣でしょう。うちは携帯をやめたから。たくさん売れないとメーカーも派遣の人を出さない。携帯は説明する事項も増えているでしょう。手間暇かかって粗利が低い。時間がかかる商売なんですよ。あれを正社員がやっていたら大変ですから」

 店員が「ほぼ正社員」のワケは、そうした小野さんの自然な取捨選択の結果なのだろう。「うちはぬるま湯でしょ」小野さんはちょっと自虐的な言い方をする。でもそう語るときの表情は柔和で、どこか誇らしげにもみえる。

 

目指すのは、街の電気屋さんの進化形

 オノデンでは、馴染み客がテレビを買いに来ると、お客とその客担当、テレビ売り場担当者の3人が商談している光景が普通に見られるという。その風景を小野さんは「親切な電器屋さん」という社是にした。

「あんまり格好良いスローガンつけても覚えられないしね(笑)。それにハッピの背中に『親切』て入れたら、やるしかないじゃない? 昔、町ごとに小さな電気屋さんがあって、なんでも相談していたでしょう? 私が目指しているのは大規模な家電量販店というより、街の電気屋さんの進化形みたいなものです」

 

ハッピ姿で商品を自社配送

 その取り組みの一環として昨春から始めたのが、商品の自社配送である(エリア限定サービス)。私は最初にこう聞いたとき、外部の宅配業者の代わりに自社の配送部を使うことなのかと思った。会話しているうちに小野さんが私の勘違いに気付いて「違う違う」と笑いながら手を振った。

「商品を買っていただいた売り場の人間が、直接商品をお持ちするんです」

――店員さんがわざわざ持っていくんですか?

「そう、売り場の店員が行くからお客さんも驚くらしいけれど。でもそうやってお宅にお邪魔すると、別の家電で困っていることなんか相談されるわけですよ。それが次の商談につながります」

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