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「好きすぎて気象庁を辞めました」日本でただ一人“蜃気楼だけを追いかける”33歳男性の話

魚津埋没林博物館学芸員・佐藤真樹さんインタビュー in “魚津のおしゃれすぎるカフェ”

気象庁時代からの夢だった南極行きは諦めていない

――こうしてお話を聞いていると、佐藤さんを始め魚津の皆さんも虜になる「蜃気楼」の魔力を感じます。中毒性のある蜃気楼の魅力とはなんでしょう。

佐藤 気象現象って見えないことが多いんです。「あの雲は-20℃もあって……」とか言われても全然ピンと来ないけど、蜃気楼は光の屈折によって「普段見えている建物が違った形に見える」と分かりやすい現象なんです。

「夏の“逃げ水”も、実は蜃気楼の一種なんです」 佐藤さん提供

 それと予報が難しい。発生には色々な条件が必要になってくるので、なかなか専門家で100%予測することはできないんです。でもだからこそ神秘的で、見た時に感動してしまう。水平線の夕陽が歪んで見える「だるま太陽」も蜃気楼の一種なんですよ。

――11月は蜃気楼が見えにくい時期で、一般には4~6月がベストシーズンだと言われています。蜃気楼を見たくなった人は、どういうタイミングで魚津を訪れるともっとも遭遇率が高くなるでしょうか。

佐藤 まず蜃気楼予報を確認してほしいです。予報が難しいと話しましたが、富山にある日本気象協会から期間限定で予報を出しているんです。ちなみに富山だとベストシーズンには新聞にも掲載されています。

 これが40%以上だと「かなりの高確率」。普通の天気予報で降水確率40%っていうと降らない可能性の方が高い数字になるんですが、蜃気楼は40%の予報で8割以上の確率で見ることができます。

2019年6月6日の北日本新聞に載っていた蜃気楼予報

 写真も良いんですが、やっぱり実際に肉眼で見るとやっぱりすごいのでぜひ見に来てほしいですね。

――蜃気楼研究の第一人者として、佐藤さんの今の研究目標はなんでしょう?

佐藤 蜃気楼は光の屈折によって起こることはわかっているんですが、そこまでの過程がすべてまだ“仮説”の段階に過ぎないんです。なので「蜃気楼の構造」を解き明かすことが目標です。

 そして、個人的には気象庁時代からの夢だった南極行きは諦めていません。南極もまた蜃気楼の出現場所として有名ですので、蜃気楼調査の実績を重ねて、研究者として南極に行ってみたいですね。

 

◆◆◆

 今回、佐藤さんのインタビューを行ったのは、埋没林博物館に隣接するカフェ「KININAL」。40年以上続く魚津の老舗洋菓子店の2代目パティシエ・玉森周一さんが「これまでにないスイーツショップをスタートアップしよう」と開店したものです。

KININAL

 ガラス張りの明るい店内で楽しめるのは、魚津産のシャインマスカット、りんご、ももをはじめ、地元のフルーツを大胆に使ったケーキ。いずれもお店のコンセプトでもある「フルーツなのか ケーキなのか キニナル。」に合わせて、玉森さん自らが考案しています。

パティシエの玉森さんにケーキのご紹介をしていただきました

 まったく新しい見た目がInstagramなどで大反響となり、土日は遠方から訪れるお客さんでいっぱい。「クリームは自信を持って作っています」と語る玉森さんの言葉通り、さっぱりした味わいで、クリームと意外なフルーツとの組み合わせを楽しめます。

魚津産のシャインマスカットを使ったケーキと

 

「少子高齢化や地方の過疎化を目の当たりにして、どうにか魚津に新しい方法が何かないか」と考えた中での、新しい試みが魚津に新しい風を吹き込んでいます。


取材協力=魚津市食のモデル地域協議会
写真=山元茂樹/文藝春秋

INFORMATION

埋没林博物館

〒937-0067 富山県魚津市釈迦堂814
TEL/0765-23-9105
有料エリア:9時~17時(入館は16時30分まで。一部無料エリアもあり)
入館料:大人(高校生以上)/530円 小・中学生/260円
土・日・祝日は小・中学生無料
休館日:12月1日から翌年3月15日までの木曜日(祝日の場合は開館)、12月29日~1月1日(3月16日から11月30日までは無休)
https://www.city.uozu.toyama.jp/nekkolnd/

KININAL

魚津埋没林博物館内
OPEN 10:00-17:00
定休日:木曜日
TEL/0765-24-4014
https://www.instagram.com/kininal_official/

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