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独立直後、機材は何もなかった……それでも小島秀夫がたった4年で『デススト』を作れた理由

小島秀夫監督インタビュー #2

小島監督の「2019年映画ベスト5」は?

小島 第5位は『スパイダーマン:スパイダーバース』ですね。この映画はちょっと、これまでのアニメを変えたと思います。腰抜かしてしまいました。日本ではできないと思いますよ、お金かかるんで。これができたらもう、『アベンジャーズ』とか実写でやる必要ないですよね。実写とアニメと漫画と、グラフィティの中間みたいな。あと、ストーリーも『デススト』に近いものがあって。

 そして第4位は『COLD WAR あの歌、2つの心』。ポーランド映画です。アンジェイ・ワイダ好きとしてはもうね。でも、普通の人が観たらあんまりおもしろくないかもしれませんけど。それで第3位は『象は静かに座っている』。

 

――中国の映画ですね。上映時間も長い。

小島 4時間弱あります。これ、ちょっとすごいですから、カメラをやってる人、ぜひ観てください。監督さんが29歳で自殺してしまったんですが。そして第2位、『ボーダー 二つの世界』。スウェーデン映画です。これはすごい映画なんですけど、あんまり言うとネタバレになるので(笑)。原作とは違う終わり方をしていて、より高度なんです。で、第1位。これはもう間違いなく『パラサイト』ですよ。

――おー! ポン・ジュノですか。公開は2020年の1月ですね。

『パラサイト 半地下の家族』 ©2019 CJ ENM CORPORATION, BARUNSON E&A ALL RIGHTS RESERVED

小島 これは猛烈に面白いですね。社会批判もあって、エンタメでもあって。エッチシーンもあるし。けっこう驚きますよ、面白すぎて。天才やと思う。今までのポン・ジュノ作品以上に、バランスもいいですよね。

――公開が待ち遠しいです。

「僕も毎回、新しい作品が最高傑作なんです」

小島 ちなみに今一番すごい映画は、ファティ・アキンの『屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ』ですね。ドイツの映画で、来年のバレンタインデーに公開です。でも、バレンタインデーにカップルで観に行ったら、絶対別れます(笑)。

 よく新しいものって、万人受けしないって言うじゃないですか。でも、それこそがクリエイターの仕事なんだと。僕も常にそれをやっているんですが、ファティ・アキンの映画は、クリエイターがやるべきことを限界までやっていた。

『屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ』 ©2019 bombero international GmbH&Co. KG/Pathe Films S.A.S./Warner Bros.Entertainment GmbH

――攻めた映画なんですね(笑)。

小島 攻めまくってます。すごいですね。覚悟できる人だけ観に行ってください(笑)。彼は3大映画祭の全部で賞を取ってるような監督ですが、今回の『屋根裏の殺人鬼』が最高傑作だと言っていて。それで言うと、僕も毎回、新しい作品が最高傑作なんですよ。一番手前のものが、一番頑張って作ってるんで。体力は落ちてきてますけど、経験値は高いんで。だから、次の作品がまた、僕の最高傑作になるんじゃないですかね。

――小島監督から「次の作品」という言葉を聞くだけでワクワクします。さらなる最高傑作を楽しみにしています!

 

撮影=深野未季/文藝春秋

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