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今後、死者数は急速に増えていく。“崩壊前夜”の日本の医療では感染爆発に耐えられない

WHO上級顧問・渋谷健司氏緊急提言「いまこそ日本全国ロックダウンを」

 新型コロナウイルス対策の「緊急事態宣言」について、政府は4月16日、これまでの東京など7つの都府県だけでなく、対象地域を全国に拡大することを決めた。

 安倍晋三首相は「特にゴールデンウィークにおける人の移動を最小化する観点から、全都道府県を緊急事態措置の対象とすることとした」と述べ、「最低7割、極力8割の接触削減を何としても実現しなければならない」と訴えた。

「日本では海外のような感染爆発は起こらない」は本当か?

 だが、医療現場に目を移せば、医療用マスクや防護服の不足、スタッフの不足、院内感染など、聞こえてくるのは崩壊寸前の日に日に追い詰められている医療従事者たちの悲鳴ばかりだ。

防護服も不足している ©iStock.com

 3月28日の時点で安倍首相は「ギリギリ持ちこたえている」と述べていた。だが、いまだまことしやかに噂される「日本では海外のような感染爆発は起こらない」という言説を我々は信じて良いのか。スピード感に乏しく、生ぬるくもみえる政府の対応は正しいのか。公衆衛生や感染症対策の第一人者で、WHO事務局長上級顧問の渋谷健司氏がみたび、緊急寄稿した。

緊急事態宣言でもロックダウンは可能だった

 ついに緊急事態宣言は全国に拡大した。4月7日に安倍総理が緊急事態宣言を発令してから、わずか9日後だ。それだけ事態は切迫している。各地での感染者の増加が止まらない今、緊急事態宣言を全国に広げることは極めて妥当だ。

 最初の総理会見は「医療を守るため、家にいよう」というシンプルなメッセージがよく伝わる、非常に練られた素晴らしいものだったと思う。そして、安倍総理は「医療への負荷を抑えるために最も重要なことは、感染者の数を拡大させないことです」「ゴールデンウイークが終わる5月6日までの1カ月に限定して、7割から8割(接触)削減を目指し、外出自粛をお願いいたします」と訴えた。

新型コロナウイルス感染症対策本部の会合で、全都道府県に緊急事態を宣言する安倍首相 ©共同通信社

 しかし、「今回の緊急事態宣言は、海外で見られるような都市封鎖、ロックダウンを行うものでは全くありません」とした。ロックダウンをするかどうかは、実はそれほど重要なことではない。今最も大切なことは、社会的隔離を徹底すること。つまり外出禁止を効果的に行うことで、感染者の急増を抑えて医療崩壊を防ぐことだ。その手段の一つがロックダウンか、それ以外であるかに過ぎない。

 たとえ法的強制力がなくとも、今回の緊急事態宣言と総理のメッセージでも効果的な外出禁止が可能であったかもしれない。もしその後に総理会見を補完する一貫した政策があればという条件が必要だ。

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