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はびこる「PCR検査拡大は不合理」説を公衆衛生の第一人者が論破!【偽陽性の問題はほぼ100%ない】

PCR検査の徹底的拡大こそ「経済を回す」

無症状感染者対策が感染コントロールの鍵

 このような状況の中、無症状感染者の対策が、我が国の今後の感染コントロールのカギとなることは間違いない。 初動が遅れ、感染爆発を起こしてしまった英国のボリス・ジョンソン首相は、BBCのインタビューで「最初の数週間や数カ月間、(ウイルスを)十分に理解していなかった」「当初おそらく何より気づいていなかったのは、いかに無症状の人から人へと感染が広がっていたか」だと述懐している。

 第一波の初期に一定の役割を果たしたクラスター対策も、たまたま症状のある感染者の周りに無症状の感染者が見つかれば良いが、そうでない無症状感染者は感染を知らぬうちに拡大させている。特に、無症状感染者の多い今回の再燃では、クラスター対策をさらに困難にさせている。

 クラスター対策が有効に機能しないのであれば、緊急事態宣言、休業や自粛の要請等が議論の俎上にあがるが、こうした手法は現在でも回復が進んでいない経済への打撃が極めて大きく、多くの事業者で倒産が続出するため、もう自粛は勘弁してほしいという国民の声ももっともだ。

©時事通信社

 こうした未曽有の事態に直面し、経済再生と感染予防の両立のために最適な施策をデザインしていくことは容易でなく、政府や自治体の対応も試行錯誤しながら進めていかざるを得ないのは当然だと思うが、国全体としてのコロナ対策の基本戦略がそろそろ確立されるべき時期にきている。

休業・自粛の繰り返しでは経済は落ち込むだけ

 筆者が繰り返し主張してきた通り、経済再生と感染予防の両立のための基本戦略の柱は「徹底したPCR検査の実施」だ。特に、無症状感染者への対策がカギとなる今後の感染流行では、この戦略の重要性がさらに高まっている。

 PCR検査の拡大で、クラスター対策では追いきれない無症状者も含めた感染者を、他の方々が感染する前に見つけ出して、ホテル等の収容施設で療養してもらうことが何よりも重要だ。しかし残念ながら、こうした「検査と隔離」の戦略が十分に進められている状況とはいえない。

 第一波の死亡者数を抑制できたある種の「成功体験」の影響なのか、政府の感染予防策は、3密回避、「ウィズ・コロナ」の新しい生活様式、事業者向けのガイドラインなど、一律の行動変容や個人の努力に頼る施策に終始しており、今後のコロナとの戦いの基本戦略が明確に示されていないように見える。

ボリス・ジョンソン首相はBBCのインタビューで「何より気づいていなかったのは、いかに無症状の人から人へと感染が広がっていたか」と述べた

 もちろん3密回避等は重要な事だが、これだけに頼っていては経済や社会が十分に回らない。誰が感染しているか分からず、また、職業上、接触減が難しい方も多い。病院や介護施設、サービス産業で働く人々は、接触5割減と言っていたら仕事の効率性への打撃が極めて大きい。

 全く感染リスクがない方と感染リスクの高い方を一緒にして画一的なリスク管理を行うことは極めて効率が悪い。しかも、個人の行動変容がいかに難しいか、そしてそれを長期間にわたり持続させていくことがいかに難しいかという点は、公衆衛生の分野では常識とされている。

 こうしたアプローチだけでは、自粛疲れの中、第一波のときのような効果が得られるとは限らない。結果として、大規模な休業・自粛要請等に追い込まれ、感染予防も経済再生も共に遠のくという最悪の結果も招きかねない。

 第一波の感染収束から経済活動再開に向かう6月の1カ月間は、PCR検査能力を急拡大させ、感染実態のモニタリング、特に無症状感染者の早期発見と隔離を進め、社会経済活動を回し自粛を防ぐために準備するべき最も重要な時期であったが、その貴重な時間が有効に活用されなかった。

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