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スカパーJSATは「宇宙実業社」として衛星ビジネスを牽引する。

アポロ11号が月面に降り立ってから約55年。いまや宇宙空間はロマンをかき立てるSFの世界ではなく、各国の民間企業がしのぎを削るビジネスの場となった。スカパーJSATもその「宇宙ビジネス」の最前線で、挑戦を続けている。

営業利益の8割以上は「宇宙事業」が担う

株式会社スカパーJSATホールディングス
代表取締役社長 米倉英一氏

 社名に「スカパー」が含まれているので、放送会社と思われている方も多いかと思いますが、わたしたちはコンテンツをつくっているわけではありません。

 1989年に日本初の民間通信衛星「JCSAT-1」を打ち上げて以来、30機以上の衛星を打ち上げ、現在も17機の静止軌道衛星を保有し、通信・放送サービスを提供しています。実際に営業利益の8割以上が「宇宙事業」です。

 衛星を打ち上げるには、まず衛星の仕様を決め、メーカーや打ち上げのロケットを決定します。パートナーは国内外を問わず、例えばイーロン・マスク氏のスペースXで打ち上げてもらうなど、その都度、最適なところを選定しています。そして打ち上げた衛星・パートナー企業の衛星と国内7拠点・複数の海外拠点を活用して様々なサービスを展開しています。衛星の調達からサービス提供まで、そのノウハウを持っているのはわたしたちの強みであり、その強みを生かしながら、35年以上にわたり衛星ビジネスを牽引してきました。だからこそ「スカパーJSATは宇宙実業社」なのです。

 これまでは、赤道上空3万6000キロに打ち上げた静止軌道衛星を中心にビジネスをしてきました。衛星通信には広域性・同報性・柔軟性・耐災害性などの特長があり、長らく通信インフラとしてご利用いただいていますが、多様化する通信ニーズに応えるため、中軌道・低軌道という高度が異なる衛星を組み合わせることで、サービスの多様化を図っていくことが、これからの課題だと考えています。

 これは、スペースXのスターリンクと競合する、ということではありません。彼らはパートナーであり、実際にわたしたちはスターリンクの低軌道衛星によるブロードバンドインターネットサービスを取り扱ってもいます。わたしたちは、通信サービスのみならず低軌道の地球観測衛星から得られる画像などのデータを活用した事業にも取り組み、事業領域を拡げています。

陸・海・空・宇宙をシームレスに結ぶ

 いま九州大学発のスタートアップであるQPS研究所という会社に出資していますが、そこは「合成開口レーダー衛星(SAR衛星)」の製造・運用を手がけています。レーダーの反射をキャッチするSAR衛星は、昼夜、天候を問わず地表を観測することができ、東京ドームのスコアボードなど建物の中を見ることができます。

 SAR衛星の画像はモノクロですが、太陽光の反射をキャッチする「光学衛星」なら、地表の様子をカラーで撮影できます。ただし、昼間で雲や霧がないときに限られます。

 それぞれかかるコストが違いますから、ビジネス上のニーズにあわせて、メニューを充実させることが重要です。例えば、線状降水帯のような悪天候時であれば、SAR衛星から得られるデータが重要となりますし、農園など広大な土地の育成状況を観測する場合は、週一回程の頻度で、光学衛星で撮影するのが適しています。

 このような多様なポートフォリオを提供するためには、我々単独では限界があり、前述のQPSを始め、様々なパートナーシップを推進しています。

 通信の分野でも、パートナーシップを推進しており、2022年には、NTTとSpace Compassという合弁会社を作り、HAPS(高高度プラットフォーム)による成層圏からの通信に取り組んでいます。HAPSは、衛星と異なり専用アンテナが不要で、スマホから直接通信できる点が最大のメリットです。静止軌道、中軌道、低軌道、成層圏と非地上系の多層的な通信インフラを構築することで、あらゆる通信ニーズにお応えしようというものです。

AALTO社Zephyr (HAPS) ©AALTO

 地上だけでできることもたくさんあると思いますが、宇宙空間を使うことでさらに利便性は高まります。陸・海・空・宇宙をシームレスに結ぶインフラづくりを通じて、未来社会に貢献していきたいと思います。

Yonekura Eiichi 1957年、東京都生まれ。81年慶應義塾大学経済学部卒業後、伊藤忠商事入社。2011年常務執行役員/伊藤忠インターナショナル会社社長(CEO)、16年代表取締役専務執行役員などを経て、18年スカパーJSATホールディングス代表取締役副社長、19年代表取締役社長に就任。

提供:スカパーJSAT
東京証券取引所 プライム市場(証券コード 9412)

photograph:Hideki Sugiyama
design:Takayoshi Ogura

source : 文藝春秋 2024年3月号