5月の連休明けあたりになると思うのだけど山手線の大塚駅前で、書店をはじめる。その名も「宇野書店」。僕の好きな本と、僕がこれから読みたい本だけを集めた本屋だ。多くの本好きが、まるでAmazonのランキングをそのまま引き写したような街の書店(特にチェーン店)の新刊コーナーに絶望した経験があると思う。だったらAmazonで買うよ、と心のなかで毒づいたこともあると思う(僕はある)。そういった現実に抵抗するためにずっと独立系書店がゲリラ戦を挑んでいて、僕は一読者としても、零細版元のオーナーとしてもこうした試みにとても助けられてきたのだけど、このタイミングで僕自身も街の本屋を手掛けることで、一石を投じてみることにしたのだ。
ポイントはいくつかある。まずは選書で、僕の趣味嗜好と独善極まりない評価と気分がすべてを決定する完全支配が働くため、この書店の棚は圧倒的に「偏っている」。売れ線はもちろん、「ギョーカイ」の「空気」も完全無視だ。そもそも人文、社会、サブカルチャー、都市開発などの僕の好きな分野の棚しかなく、ビジネス書は(その定義にもよるが)1冊もない。僕の、僕による、僕のためのセレクト――と、言いたいところだが、実のところ「宇野書店」では常に何かしらのフェアを行うつもりで、そこでは逆に僕の信頼する仕事仲間(批評家、研究者、クリエイターなど)による100冊規模の選書を展開する予定だ。こうすることで、この書店は「いつ行っても、まだ知らない面白そうな本に出会える」――そんな空間になるはずだ。
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source : 文藝春秋 2025年5月号