あなたは世代間対立をあおっています

第3回 ダイジェスト版

上野 千鶴子 東京大学名誉教授
成田 悠輔 経済学者
エンタメ 社会 教育

この記事は、月刊文藝春秋誌上に掲載されたダイジェスト版です。「文藝春秋PLUS」では、誌面では紹介できなかったカット部分を完全収録した「26000字ノーカット完全版」(後編)を公開中です。

 上野 まず最初に、私を対談相手にご指名された理由は何ですか?

 成田 深い理由はないです。

 上野 浅くてもいいです。

 成田 上野さんが私を批判されているのを何度か目にした記憶がありまして。ある美術展について私が書いた短文への批判など。

 上野 金沢21世紀美術館の「フェミニズムズ/FEMINISMS」展ですね。ご記憶にあってよかったです。あなたの展評に対して私が「ムカムカする」という文章を書きました。あれを読んで、どう思われましたか?

 成田 具体的な内容はよく憶えておらず、深く思ったことはあまりなかったのだと思います。

 上野 いや、深く思ってくださいよ。頑張って書いたんだから。

上野千鶴子氏 ©文藝春秋

 成田 内容より、私なんかの雑感になんでわざわざムカムカしていただけたんだろうと不思議でした。

 上野 フェミニズムをテーマとするアートや表現に対する批評として、いかにも“男らしい”反応だったからです。情理を尽くして書きましたが、通じませんでしたか。

 成田 通じなかったというより、自分にはそういう男っぽい部分があると思います。

 上野 ご自覚があるなら何よりです。自覚なしにやってもらうと困るのでね。例えば、あなたはこの展覧会について〈こわくない〉と書かれてますが、これは典型的な男のクリシェ(決まり文句)です。自分が「こわい」「こわくない」を判定するマジョリティの立場にあることを無邪気に表明されている。

 成田 分類判定というより感覚表明しているだけですが。ただ、クリシェであることは構わないんじゃないでしょうか。正論なクリシェや正直なクリシェもあるので。

この記事は、月刊文藝春秋誌上に掲載されたダイジェスト版です。「文藝春秋PLUS」では、誌面では紹介できなかったカット部分を完全収録した「26000字ノーカット完全版」(後編)を公開中です。

 上野 クリシェで性差別を再生産していただくのは困りますので。しかもあなたのような若い方が。

 それまで私はあなたを全く存じ上げませんでしたが、そういうご縁ができた。そのご縁で今回、呼んでくださったわけですか。

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source : 文藝春秋 2025年5月号

genre : エンタメ 社会 教育