ドイツのような「戦間期の思想」がない誇り
石破茂首相にスキャンダルが発覚した。3月3日に新人の衆議院議員15人と会食した折、1人10万円分の商品券を配ったというのである。『朝日新聞』のスクープに対して石破は、私費から出したものであり、政治資金に関する寄付でもないので、政治資金規正法には抵触しないとの見解を示した。その後、石破は参議院予算委員会で、法的に問題はないとしながらも、「政治への疑念を生じせしめたことを申し訳なく思う」「国民の感覚とのズレに気づかなくなっていたとすれば猛省する必要がある」という意味のことを述べた。

当然のことであるが石破内閣の支持率は下落している。さらに、これも『朝日新聞』の報道であったが、岸田文雄前首相も在任中、首相公邸で開かれた懇談会の際に10万円分の商品券を配っていたことが分かった。また『毎日新聞』によれば、第二次安倍晋三政権でも首相公邸での会食時に商品券が配られていたという。私たちは、この局面をどう見ればいいのか。差し当たり以下の5つのことは押さえておくべきであろう。
(1)政治とカネをめぐる旧態依然を改革することをテーマの一つとしてきた石破が、政治とカネの問題が焦点化している時期に行った過誤である。
(2)自民党内で金品を渡すことが慣習化し、政治とカネをめぐる、いわゆる裏金事件とは別の形態を取った問題が存在する可能性すら示唆している。
(3)10万円分の商品券を疑いもなく配布する行為は、生活に苦しむ庶民感覚とは乖離している。
(4)以上を合わせて考えると、党内基盤の弱い石破が、旧来の自民党に染まる部分があり、自らの政治信条を貫けていない姿が見えてくる。
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