
〈ストロングZEROは危険ドラッグとして規制対象とすべきです……〉
2019年の大晦日にストロング系(アルコール度7〜9%の缶チューハイ)へ警鐘を鳴らしたポストを投稿したところ、拡散され、編集者から今回の単行本の元になる連載を依頼されたという。
「臨床現場で『なんてものが出てしまったんだ!』と思っていました。日本の税制の問題で、アルコール度数の低いものに高い税率をかけられた酒造メーカーの苦肉の策として商品化されたのですが、飲みやすさと入手しやすさが段違いで、多くの薬物よりも危険です」
覚醒剤などの違法薬物や自傷行為など依存症の臨床治療を行う精神科医で、国立精神・神経医療研究センターで精神保健研究所薬物依存研究部部長を務めている。だが、本書は、本来の専門の「違法薬物」ではなく、「薬物のビッグスリー」と呼ばれるアルコール、タバコ、カフェインといった一般の多くの人も普段から摂取している「身近な薬物」を取り上げ、その歴史的背景も辿っている。
「ある薬物が『違法か合法か』は、医学的に決められているわけではなく、実は政治的に決められているんです。過去を振り返っても、『合法的』な薬物がさまざまな害を引き起こしてきました」
たとえばアルコールだ。イギリスの研究グループによる「薬物の使用者および他者への有害性スコア」では、ヘロインが55点、コカインが27点であるのに対し、アルコールは72点。実際、我々の日常生活において、飲酒運転や飲酒時の暴力がもたらす被害の頻度や大きさは、他の薬物を圧倒している。

本書では、「ビッグスリー」に加えて、市販薬や処方薬も取り上げている。
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source : 文藝春秋 2025年5月号