曽野綾子、みのもんた、枝元なほみ、ジーン・ハックマン、いしだあゆみ

ニュース 芸能 テレビ・ラジオ 映画 音楽 読書

偉大な業績を残し、世を去った5名の人生を振り返る追悼コラム

★曽野綾子

曽野綾子 Ⓒ文藝春秋

 作家の曽野綾子(そのあやこ、本名・三浦知壽子)は、作品で人間の運命と罪に迫り、社会的活動にも積極的にかかわった。

 1970(昭和45)年、エッセイ集『誰のために愛するか』を刊行する。「その人のために死ねるか」を愛の基準として論じて衝撃を与え、新書版や文庫版を入れると約400万部の大ベストセラーとなる。

 31年、東京の葛飾に生まれる。父は商社マン。母が望んで幼稚園から聖心女子学院に入る。しかし、母は掃除から料理まで何でも手伝わせたので、後に「お嬢様作家」と呼ばれたとき違和感を覚えたという。

 母は作文の書き方も教えたので、小学6年生のころには「作家になろう」と思うようになっていた。高校2年のとき中河與一が主宰していた同人誌『ラマンチャ』に参加し、さらに大学時代、第15次『新思潮』に加わって、後に夫となる三浦朱門に出会っている。

 54年に『三田文学』で発表した『遠来の客たち』では、米軍に接収されたホテルの従業員や米将校を怜悧に描写して芥川賞候補となる。叔父が社長をしていた箱根の富士屋ホテルでアルバイトをした経験が元になっていたという。

 作家として転機になったのは、カトリック信仰と自分の人生観とが交叉して生まれた69年刊の『無名碑』だった。主人公は土木工事のエンジニアであり、世の中のためにひたすら自分の職務を果たすが、報われないまま死んでいく。「この小説が私の文学の本当の出発点だと思っています」。

有料会員になると、この記事の続きをお読みいただけます。

記事もオンライン番組もすべて見放題
初月300円で今すぐ新規登録!

初回登録は初月300円

月額プラン

初回登録は初月300円・1ヶ月更新

1,200円/月

初回登録は初月300円
※2カ月目以降は通常価格で自動更新となります。

年額プラン

10,800円一括払い・1年更新

900円/月

1年分一括のお支払いとなります。
※トートバッグ付き

電子版+雑誌プラン

18,000円一括払い・1年更新

1,500円/月

※1年分一括のお支払いとなります
※トートバッグ付き

有料会員になると…

日本を代表する各界の著名人がホンネを語る
創刊100年の雑誌「文藝春秋」の全記事が読み放題!

  • 最新記事が発売前に読める
  • 編集長による記事解説ニュースレターを配信
  • 過去10年7,000本以上の記事アーカイブが読み放題
  • 塩野七生・藤原正彦…「名物連載」も一気に読める
  • 電子版オリジナル記事が読める
有料会員についてもっと詳しく見る

source : 文藝春秋 2025年5月号

genre : ニュース 芸能 テレビ・ラジオ 映画 音楽 読書